勇気を、下さい
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暗い、暗い、闇のなかを私はひたすら走っていた。
右も左も、上も下もわからない、そんな空間。
足を止めたら、闇に呑み込まれそうで、私自身が闇になりそうで、怖くて走り続ける。
ただ当てもなく、走り続ける。
なにも聞こえない、なにも見えない、なにも感じない。
私は本当に"ここ"に存在しているの?
怖くて、怖くて、堪らないのに、足はだんだんと走るのを止めていく。
そして完全に、止まった。
ここはどこ?
どうしてここにいるの?
私は、誰…?
答えが返ってこない問を繰り返す。
もう、すぐそこに闇は迫ってきているのに。
誰か…助けて…
体からどんどん力が抜けていき、そして膝から崩れ落ちる。
もう、なにも考えたくない。
もう、なにもわからない。
もう…
「ルーシィ!」
闇に溶け込みそうになったとき、いきなり声が聞こえた。
どこからかなのか、誰なのかは全くわからないけど、何故か安心できる、優しい声。
私は、この声を知っている。
知っているの…
ねぇ、あなたは誰?
私、あなたに会いたい。
あなたが…