勇気を、下さい
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今日も、いつも通りの1日が過ぎるって信じてた。
朝起きて、ギルドに行って、騒いで、喧嘩して、帰って、寝て、また起きる。
そんな何気ない1日が、今日もやってくるはずだった。
まだオレは、奇跡なんて言葉を、運命なんて言葉を、知らない。
「くぅ…あぁ〜!」
その日はたまたま朝早く起きて、悪戯心でルーシィを起こしてやろうと、思い付いた。
そのまま有言実行で、ハッピーと共にルーシィ家まで行った。
「くふふ、ルーシィきっと驚くよ!」
「どーせなら、思いっきりやろうぜ!」
「あい!」
ハッピーといつも通りに窓から部屋に侵入して、未だ夢の中であろうルーシィに忍び足で近づく。
ハッピーと顔を見合わせて笑うオレ。
その時は、起こしたルーシィに怒られて、でも許してもらって、仕事にでもいく予定だった。
でも、あの日、あの時、オレ達の"いつも通り"が無くなった。
「うっ…いやぁ…やあ…!」
「ルーシィ…?」
ベットに近づいていくと、息が荒く青白い顔をして、苦しそうな表情のルーシィが、寝ているのが見えた。
それを見た瞬間、身体中の血液が無くなったんじゃないか、と思うくらい、体が冷たくなっていくのを感じた。
どうして、なんで、助けたいのに、足が、動かない。
オレの体は、現実を拒否していた。
「ナツ…。ルーシィ、大丈夫かなぁ?」
「…あぁ。」
ハッピーの不安そうな声に、オレはなんとか声を絞り出す。
大丈夫、大丈夫だ、と自分に言い聞かせ、一歩足を踏み出す。
今度はちゃんと足が動いたことに安堵して、素早くルーシィのもとに近づく。
「ルーシィ、起きろ…。」
未だ呼吸が荒いルーシィの肩を掴み、軽く揺するが、起きる気配がない。