勇気を、下さい
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私が記憶を無くしてから、1週間が経った。
残念ながら記憶はなにも戻っていない。
でもこの1週間で覚えたことはたくさんある。
「ルーシィ、おはー!」
「よっす…。」
「おはよう、ハッピー、ナツ。」
ノックをされないまま、開かれた扉から覗いた桜色と青色。
ナツとハッピーは私が記憶を無くした日からずっと、送り迎えをしてくれている。
私は道も覚えてたし、大丈夫だって言ったんだけど、ミラさんとエルザに言いくるめられて今に至る。
絶対ミラさんとエルザには敵わない気がする。
確かに最初は送り迎えをしてくれて、安心してたんだけど…
今はこの時間は、私にとって苦痛にしかならなくなった。
「どうしたの、ルーシィ?元気ない?」
「だ、大丈夫!もう元気有り余ってるくらい元気よ!」
「そうかなー?」
「そうよ!ほら、はやくギルドいきましょ!」
今だ心配そうに見つめるハッピーの手をとり、ギルドへの道のりを速足で進む。
ナツはそれを黙ってついてくるだけ。