寄り道 二本目

□365年分の奇跡 ―第1話―
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―…走る。





一人の青年が、森の中を疾走していた。


その顔には、不安と焦り、そして憤り。




やがて辿り着いたのはある遺跡。

入り口にいた兵士達がひき止めようとする…が、青年の腕から光の剣が飛び出し、あっという間に切り捨てた。


そのまま内部に侵入し、奥へと続く階段は一番上から飛び降り、移動時間を短縮させる。




やっと最深部へと足を踏み入れた、彼の目に入ったのは―…












氷の壁に沈んでいく、愛しい姫君。











青年は吼えた。


それに回りにいた老人たちが驚いて振り返るが、そんなものはもう意識から除外されている。


床を蹴り、壁周辺の兵士を斬り伏せる。





腕を伸ばす。


姫君も白く細い手を伸ばす。











だが、指先が一瞬だけ触れた瞬間。












姫君の身体は氷の向こうへと消えていった。











青年はその氷の壁に拳を叩き付ける。











姫君の名を叫びながら―…
















「カガリイイイイイィィィィィッ!!」
















365年分の奇跡




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