寄り道 二本目

□Ocean is my world【前編】
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深夜。


一人自室で報告書を書いていると、


突然、グラリと部屋が揺れた。




「敵襲だああぁぁっ!!」

「っ!」


アスランは瞬時に立ち上がり、銃と剣を手に持つ。

ドアを開け放てば、向こうに見える砦で火が上がっているのが見えた。





「海賊だああぁっ!!」





海賊―…


その単語を聞き、頭がスッと冷たくなるのを感じた。





東インド会社にいる以上、海賊は自分にとって絶対的な悪。


卑劣で傲慢で卑怯な、


同情の余地も一切無い、


野蛮な人種。






アスランは剣を握り直した。


ここから先は、

情け容赦一切無用。











砦は大丈夫だろう。


それよりも優先すべきは、町民と…この町にあるという、重要貨物の安全。


アスランは走り出した。

















悲鳴飛び交う混乱の町。


家は燃え、町民は追いかけられている。

と、目の前を寝起きの女性を追いかける海賊が横切った。


「おらおらっ!!早くあっち行け!」


黒髪にバンダナを巻いた、自分とさほど歳の変わらないまだ若い少年。

アスランは迷いも無く斬りかかった。


「おおおぉぉっ!!」

「な、うわっ!?」


途中で気付いたのか、少年は素早い動作で右に飛び、奇襲をかわした。


「あぶねーだろ!!」

「黙れ海賊が!」


少年の抗議も無視し、アスランはさらに斬りかかる。


「だーっ!!面倒くせえっ!!」


少年もサーベルを抜く。

ガギィン!!と火花が散った。




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