寄り道 二本目
□Ocean is my world【前編】
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少年の嬉しそうな声と目線に釣られて、アスランはこの襲撃の指導者の顔を見ようと頭を動かして。
衝撃を受けた。
古ぼけたコートに
キャプテンの証の黒い帽子
そこからはみ出る髪はさらさらと金に輝いて。
眼帯で覆われていない片方の瞳は、鳥肌が立つほどに美しい金。
南の異国で出逢った
あの少女のような鮮烈な輝きが
その人物にはあった。
「シン。コイツが将校か?」
「ああ。今遠回しに肯定した。…って、“今日”はキラさんじゃないんですか?」
「今日一日私が出る。代わりに、明日は一日キラだ。」
「りょーかいっす。皆にも伝えておきますね。」
「頼んだ。」
目の前で交わされる会話を呆然と聞いていると、金の眼がちらりとこちらを見た。
「―…それと。南側から七つ目までの倉庫はもう荒らしたか?」
「!!」
一瞬にして現実に引き戻された。
その場所は重要貨物が保管されている倉庫だ。
ギリリと歯を食い縛ると、目の前の金が弧を描いた。
「シン。お前の推測はビンゴだ。今の反応からして、ブツは南側から七つ目までの倉庫。これも伝えてくれ。」
「マジすか!?やった!おーい!南側から七つ目までの倉庫追加ー!!」
嬉しそうに仲間に伝える少年と、満足そうに笑う船長に、耐えがたい屈辱感と憎しみが溢れた。
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