寄り道 二本目
□Ocean is my world【前編】
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成る程、将校である自分を連れてきたのは重要貨物の場所を確認するため。
そして恐らく、この港から無事に出るための人質。
「この…外道が!!」
憎々しげに吐かれたこの言葉を聞いた瞬間、
船長の目付きが変わった。
「外道、だと?まさか東インド会社の犬に言われるとは…」
せせら笑い、側にあった皮袋から何かを掴む。
そしてアスランの目の前に突き出した。
「こんな物を大事そうに運び、高値で清に売り付けている貴様らには言われたくはないな。」
開かれた手に乗っているのは、白い粉。
「貴様、重要貨物だと言われて大事に守ってきた“これ”が何なのか―…知っているか?」
鋭い金の眼差しが、アスランの翡翠を捕らえる。
その金は、アスランに対する…否、東インド会社に対する殺意に満ちていた。
「…分からないのか?まぁ、どうせ貴様らはせいぜい“重要な物”位にしか上から伝えられていないのだろうな。」
グッと白い粉を握り潰す。
まるで、そのまま消してしまおうとしているかの様に。
「“阿片”だ。」
アスランの思考が、
止まった。
「貴様らが大事に大事に守ってきた物は“阿片”…麻薬だよ。それを清に売り付け、儲けを出しているんだよ…お前のお偉いさんは。」
側にいた少年も、苦々しげに皮袋を見ている。
「貴様はまだ若いから教えてやる。―…海賊が“悪”だと、誰が決めた?東インド会社が正義だと、誰が証明した?」
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