寄り道 二本目

□Ocean is my world【前編】
6ページ/18ページ



成る程、将校である自分を連れてきたのは重要貨物の場所を確認するため。

そして恐らく、この港から無事に出るための人質。



「この…外道が!!」


憎々しげに吐かれたこの言葉を聞いた瞬間、









船長の目付きが変わった。










「外道、だと?まさか東インド会社の犬に言われるとは…」


せせら笑い、側にあった皮袋から何かを掴む。

そしてアスランの目の前に突き出した。


「こんな物を大事そうに運び、高値で清に売り付けている貴様らには言われたくはないな。」


開かれた手に乗っているのは、白い粉。


「貴様、重要貨物だと言われて大事に守ってきた“これ”が何なのか―…知っているか?」


鋭い金の眼差しが、アスランの翡翠を捕らえる。

その金は、アスランに対する…否、東インド会社に対する殺意に満ちていた。


「…分からないのか?まぁ、どうせ貴様らはせいぜい“重要な物”位にしか上から伝えられていないのだろうな。」


グッと白い粉を握り潰す。

まるで、そのまま消してしまおうとしているかの様に。





「“阿片”だ。」









アスランの思考が、


止まった。










「貴様らが大事に大事に守ってきた物は“阿片”…麻薬だよ。それを清に売り付け、儲けを出しているんだよ…お前のお偉いさんは。」


側にいた少年も、苦々しげに皮袋を見ている。




「貴様はまだ若いから教えてやる。―…海賊が“悪”だと、誰が決めた?東インド会社が正義だと、誰が証明した?」




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ