寄り道 二本目
□Ocean is my world【後編】
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「意見も話し合いも平行線。このままでは埒があかないと判断した人々は、島の神ハウメアに頼んだ。『この中の誰かを国王に選んでくれ』と。ハウメアは国王を選ぶ変わりに、ある制約をその人間に課した。『この島から離れた場合…夜だけしか屋根の外に出ることは出来ない』という制約だ。それは自分を崇める人間が、自分の島から永遠に去ることを許さない、一種の呪いみたいな物だ。…こうして神に選ばれた一族の私達は、制約を受けあんな面倒な当番制船長をやってるわけだ。」
「ちょっと待った。…制約の通りならキラも君も、夜だけしか行動できないんじゃ…?」
なのに彼女は昼に、屋根と言える船の中から出てきている。
それに一昨日、夜にも活動していた。
「ああ。それは…私達が双子で、なおかつ制約の一部を少し変えて貰ったからだよ。ハウメア神に。『片方は片方の時間しか外に出ることは出来ない』って。…あとは、『片方が一日外に出た場合、次の日はもう片方が一日外に出る』というやつかな?…ま、代償として島から離れるとその体質と共に、片目が片割れの物に変化してしまうのも追加されたがな。」
そう言って彼女は、金と紫の瞳を瞬かせた。
…と、いうことは。
「…片割れって…、まさか、君、カガリ…?」
「は?何だ今さら。もうとっくに思い出してるかと思ったのに。」
記憶の中の幼い彼女と、今目の前にいる少女の姿がぴったりと重なった。
「っなあ…!?」
「私はすぐ分かったのに。なんかすごく残念だな。」
不服めいて頬を膨らませたカガリ。
その仕種も昔と同じだ。
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