寄り道 二本目
□Ocean is my world【後編】
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「そっ、そのっ!!何て言うかそのっ、ごめんっ!!!!」
「?」
本当に今更だが、思いきり頭を直角に下げた。
今も鮮明に憶えている、初恋…と言っても差し支えない少女の、何度も言うが事故であるとはいえ全裸を、ばっちり、全部、まじまじと見てしまったのだ。
彼女にとってはもう過ぎた事でも、アスランにとってはそうもいかない。
(…もしあの時点で彼女がカガリだと知っていたら、俺確実に鼻血噴いてたな。)
というか、自分ばかりが意識していると言うのは、かなり悲しい気がする。
「どうしたかは知らんが…とり合えず頭を上げてくれ。」
若干おろおろしながらの、戸惑いの声が降ってくる。
…可愛い…
(って何考えてるんだ俺は…)
顔を赤らめながら頭を上げると、カガリの不思議そうな瞳。
「大丈夫かお前。」
「あ、ああ。」
「それなら船に戻ろう。もうすぐオノゴロだ。」
踵を返したカガリの言葉に、アスランはふとキラの言葉を思い出した。
「…オーブはその…、どうして…」
しかしカガリは背を向けたまま、こちらを振り返らなかった。
「…ダメだよ。」
「え?」
「知ったら、お前が…戻れなくなる。」
「…」
「お前は今、東インド会社の将校だ。お前自身が選んだ道だ。…オーブの最後を知ったら、お前は戻れなくなる。」
それだけ告げると、カガリは進み始めた。
「ほら、戻るぞ。」
妙に明るい声でアスランを促す。
アスランはそれに従うしかなかった。
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