寄り道 二本目

□365年分の奇跡 ―第1話―
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MS…-Mind Sward-


それは今から300年も昔、とある男が開発した装着式武装兵器。


普段はデバイスと呼ばれる長方形の機械だが、一度戦闘になるとどういう仕組みか一瞬にして使用者を覆う武装を展開する。


デバイスはその人の心の形その物といわれ、故にそれぞれであり一つ限り。

誰もが役所に申請すれば、誰もがその武装を扱う事ができるのだ。


MSと使用者の間にはシンクロ率なる物が存在し、ランク付される。


シンクロ率0〜30%、ランクD。

30〜50%、ランクC。

50〜70%、ランクB。

70〜90%、ランクA。

90〜以上、ランクS。



シンクロ率が高ければ高いほど「固有名称付き」と呼ばれる強力なMSを手にすることが出来、逆にシンクロ率が低ければ、「量産式」と呼ばれるデバイスしか扱うことは出来ない。


三人はシンクロ率が80%代、ランクAの固有名称付きデバイスの使い手だった。


「あ、こんにちは!アスラン、イザーク、ディアッカ!」


MSプレイヤーだけが入れる扉の向こうで、若葉の髪をした少年が笑顔で挨拶をしてきてくれる。


「やぁニコル。」

「今日も早いね〜、流石電撃!」

「挨拶を返せバカ者!!」


ばしりとディアッカの頭を叩いたイザークに、ニコルは声を上げて笑う。


「監督はまだ来てませんよ?」

「そうなのか?」

「ええ、何でも急ぎの用があるとかで…」


あの時間に厳しい監督、ラゥが遅れるとは予想外である。


「あ、言いそびれましたけど…、アスラン、ジュニア部門トップおめでとうございます!」

「え?ああ、ありがとう。」

「シン君が悔しがってましたよ。『何であの人に勝てないんだ、俺はーっ!!』って。」


ニコルからの賛辞を受け、思わず笑みが浮かぶ。


アスラン達は一ヶ月に一度行われるMSプレイヤーによるトーナメントにおいて、全プレイヤー中のランクを競い合う。

先月のトーナメントにおいて、アスランは見事1位を獲得したのだった。


「それにしても凄いですよね!イザークも2位、ディアッカも4位。同じチームにこれだけランク上位者がいるなんて…」

「ニコルだって凄いじゃないか。俺達より一つ下で6位なんて…」

「それをいうならミネルバチームの皆さんの方が凄いですよ!3位のシン君、5位のレイ君、7位のハイネさん。」

「ハイネさんは歳上だろ。あの人、呼び捨てにしろ呼び捨てにしろってうるさいよな。」




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