寄り道 二本目
□Re:Re:月光花
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そんな甘ったれた考えを持っていた、あの頃の自分を殴ってやりたい。
『異動…?』
僅かに目を見開いたアスランに、主カガリは書類から目も上げずに言う。
『ああ。お前には国境近くの兵士の指揮をしてもらいたい。期限は2年。異論は認めん。以上。』
淡々と言葉を紡ぐ主に、内心アスランはほっとした。
―…これで、彼女の側にいなくてもいい…
その時から既に、命を捨てる覚悟をしていた彼女の気持ちも知らないで。
呑気に、そんな事を思っていた自分を殺してやりたい。
だって。
こんなに名前を呼んでも。
こんなにその細く脆い身体を抱き締めても。
こんなに君への愛を叫んでも。
声も温もりも想いも何一つ
もう二度と届かないのだから。
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