寄り道 二本目
□Ocean is my world【後編】
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金と紫の瞳がこちらをジトッと睨む。
アスランは決まりが悪く頬を掻いた。
ちなみに持ってきた服は殴られた時にぶん獲られたので、今少女が身に纏っているのは白いリネンのゆったりとしたシャツと茶色のズボンである。
「えっと…」
「…何だよ。」
「船長はキラなのか?…それとも君なのか?」
「船長は私とキラの二人だ。昼は私が、夜はキラが指揮している。」
「…ってことは…、一昨日の襲撃の時のは…」
「私だ。」
アスランは驚いて不機嫌な少女を見つめた。
殺気すら漂わせていたあの時とは随分違う。
だが鮮烈な金の瞳や輝く金髪を見れば、一昨日アスランの胸ぐらを掴んだその人物と、(事故だが)水浴びを覗かれて慌てふためいていた彼女が同一人物であることを証明していた。
それによくよく注意していると、声だって同じだ。
一昨日は特に気にしなかったしそれどころではなかったが、男にしては高く女にしては低めの声だった…と思う。
…それにしても、昼に彼女、夜にキラ…なんて当番制。
「何でそんな…面倒臭、あ、いや…」
つい口が滑ってしまった。急いで別の言い方を探すが、その前に少女がため息をついた。
「その説明には、まず王家の起源…とか言われていた伝説から話さないといけないな。」
ちょっと長くなるけどいいか?
訪ねられ、静かに首を縦に振った。
「その昔―…無人島だったオノゴロに一隻の難民船が辿り着いた。その船にはリーダーと呼べる人物はおらず、皆が皆自分がこの島を統治するべきだと主張した。」
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