獣道
□猫魂っ! cat.3 〜宿猫〜
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「ねこ…だま…?」
「うん。猫に魂って書いて“猫魂”。」
キラは至って真剣で、ふざけているようには見えない。
「猫魂って…」
「猫魂はね、死んじゃった猫達の魂なの。」
カガリの問いを予測していたように、キラは話し始めた。
「猫魂は他の猫に取り憑いて、その猫を操って悪さするんだ。」
「何で?」
「苦しいから。」
二人が息を呑むと、キラは目線を床に落とした。
「猫魂になっちゃう魂はね、死ぬ前に苦しい思いをしてるんだ。病気とか、他の猫との喧嘩じゃなくて…人間のせいで、苦しい思いをした猫の。」
「その…猫魂狩りっていうのは…?」
「…実は、その猫魂を狩って、天国に送る役目を持った猫がいてね、その猫は狩る猫…“狩猫”…って書いてケットシーっていうんだ。猫魂狩りはその猫の仕事だったの。」
だけどね、とキラは続けた。
「先代の狩猫が…人間に、殺されちゃったの。」
「ッ!!」
「そこを、偶然通りかかった僕に…狩猫の魂が宿っちゃって…。」
こうなっちゃったの。とキラは締めくくった。
「人間の時の記憶が無いのは…多分、狩猫の魂の仕業。猫魂を狩っていけば、人間の時の記憶が戻るってわかってるんだけど…」
「何で、分かるんだ?」
「狩猫の魂がね、僕に必要な知識だけ与えたから。」
「でも…それじゃお前、その狩猫の代わりをさせられてるみたいじゃないか!」
カガリの叫び声が、家に響き渡った。
「うん…。実際、狩猫の魂はそれを望んでる。」
「…キラ。猫魂、いつまで狩るの…?」
「次の狩猫が転生するまで…だと思う。」
だけど。
「多分、今のままじゃ、僕は死んじゃう。狩猫の力が宿っても、それは全然弱くて…。猫魂を狩っていけば狩猫の力も強くなるんだけど、今すっごく弱いから、一個も狩れないの…。」
頑張ったけどね、とキラは言う。
「このまま死ぬのは、嫌だ。皆が僕の事…忘れたまま死ぬのは、嫌。」