獣道

□猫魂っ! cat.5 〜ケンカ〜
1ページ/30ページ



――……どこだ、ここ。

ふわふわと体を浮遊感が包む。

とにかくどこかに行きたくて、左へと進んだ。





……やがて見えてくる、小さな背中。



―…あれは、小さい私…か?

小さな肩を震わせて泣くその背中は、とても寂しそうだった。

―…泣くな。『私』だろ?『私』はそんな泣き虫じゃないだろう?



けれど、その瞳から溢れる涙は止まらない。


途方に暮れて辺りを見回すと、向こうから小さな影が走り寄って来た。

その影は、大事そうに手に持っていた小さな赤い石を、泣いている少女に渡す。



『ナカナイデ』


その影は、そう言っているようだった。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ