獣道
□猫魂っ! cat.5 〜ケンカ〜
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――……どこだ、ここ。
ふわふわと体を浮遊感が包む。
とにかくどこかに行きたくて、左へと進んだ。
……やがて見えてくる、小さな背中。
―…あれは、小さい私…か?
小さな肩を震わせて泣くその背中は、とても寂しそうだった。
―…泣くな。『私』だろ?『私』はそんな泣き虫じゃないだろう?
けれど、その瞳から溢れる涙は止まらない。
途方に暮れて辺りを見回すと、向こうから小さな影が走り寄って来た。
その影は、大事そうに手に持っていた小さな赤い石を、泣いている少女に渡す。
『ナカナイデ』
その影は、そう言っているようだった。
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