獣道
□猫魂っ! cat.7 〜終業式〜
1ページ/24ページ
指輪。
銀色で小さな赤い石が付いたそれは、いつの頃からか既に手元にあった。
いつ
どこで
誰がくれたのか
そもそももらったのか買ったのか
それすら分からなくて
でも、
自分にとってそれは、
とてもとても
大切な物で。
だけど
何で今まで
忘れてたんだろうか。
あいつがくれた
あの指輪を―…
「…ほえ?」
そこでカガリは目を開けた。
チュンチュンとさえずる小鳥の鳴き声が窓から漏れている。
夢…というよりも、思考の渦ら覚めたカガリはその態勢のままに再び目を閉じた。
二度寝する為ではない。
ちなみに、今日は火曜日で学校があり、二度寝なんてリスクが高すぎるマネなどするわけがない。
ならば何故。
「そっか。もらったんだっけ。」
それは記憶を整理するため。
(…誰にもらったんだっけ。)
しかしやはり、思い出したのは誰かから“もらった”という事だけで、その他の細かい情景などは全く思い出せないままだった。
「まぁいいか。いつかふと思い出すさ。」
誰に言うまでもなく、そう独り言を漏らして、カガリは「キラの目覚まし無しで起きたのなんて初めてだな」と寝返りをうつと。
.