誤解から始まる海賊稼業

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それは突然のことだったように思う。

あの日私――神無月サエは、いつも通りの朝を過ごしていた筈だった。
母親に起こされて、寝惚けながらも朝食を食べ、身支度をして、高校生らしく学校へと向かう為に家を出た。

ところが、だ。

玄関の扉を開けて一歩外に足を踏み出した途端、今まで感じたこともないような強い目眩に襲われた。

反射的というか何というか。
とにかくサエは、耐え難い視界の揺れについていけず、ぺたりとその場に座りこんでしまった。


ぐわんぐわん揺れる視界。あまりに強烈なそれは、サエから視界も平衡感覚も、思考さえも奪い去っていく。


どれくらい、ジッと耐えていただろうか。
ようやく徐々に弱まっていく痛みに、詰めていた息を大きく吐いた。

上手く力の入らない体に気合いを入れて立ち上がる。


「……はい?」


そうしてやっとのことで開いた目が映したのは、サエにとって全く馴染みのない風景だった。


こうして彼女は世界を翔んだ


 

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