long-美食會

□第一印象は大切です
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 少し移動して廊下のお掃除。

「はぁ…早く会議始まらないかな…」
 そうすれば、こんなに怯える必要もなくなるのに…

 …と私がどんなに願ってもなかなかそうはいってくれないみたいで、私の耳は足音を捕らえた。ああ、今度は誰…

「確か…紅蓮だっけ?」
「は…はい…」

 わお、超福耳。えーっと誰だっけ…

「ジェリー…ビーンズ様?」
「…かっかっかっ!惜しい惜しい。ジェリーボーイだ」
「あっ…申し訳ございません…」
「なに、いいってこ」「よく笑って許せますね…」

 呆れながらジェリー様に話し掛けたのは、あの真っ白な…

「ミ…ユー様、おはようございます」
「…今、『ミー』と言おうとしました?」
「…はい。すみません…」
「…まったく相変わらずですね、あなたは」

 返す言葉もございません…

「まあまあ、そう怒んなよ。あ、紅蓮バナナいるか?バナナ」

 ポケットから出てきたのは、言葉では形容し難い色をしたバナナ。正直、いらない…

「やめなさいジェリー、紅蓮は仕事中です。第一、常温でポケットの中に入っていた食品を相手に勧めるのはどうかと思いますよ。…さあ、行きましょう」

 ユー様は不機嫌に、ジェリー様はしょんぼりと去って行った。途中、「パラサイトエンペラー味、また誰かに試食させるの失敗しちまったなー」と聞こえた。

 …なんてモン作ってんですかあなたは!



 少し移動して、また別の廊下。大きなストローを持った人物と鉢合わせし、私は思わず固まってしまった。

「グリン…ピース…様…」
「ヒッヒ〜…誰が豆だ。吸ってやろうかァ?」
「っ…勘弁して下さい…」
「どうしようかねー…」

 ストローを構える。後は吸うだけ。あわわわわわどうしよう…!

「その位にしておけ。グリンパーチ」

 …やっと安心できる人が現れ、そして今まで恐怖を感じていたせいもあって、強張った笑顔のような変な顔になる。ああ本当に怖かった…!

「ありがとうございます…スタージュン様」

 どてっ!

「…?」
 スタージュン様の名を呼んだ途端にした何かが落ちるような音に振り向くと、今日会った人たち…セドル様、ボギー様、ジェリー様が廊下に突っ伏し、トミーロッド様はニヤニヤ笑い、ユー様は口元に手をあててプルプルしていた。

「間違えねーのかよ…」

 セドル様の言葉にハッとなる。確かに…

「あまりにもインパクトが強かったので…」
「なんじゃそりゃ」

 スタージュン様は軽く頭を掻いた。仮面の下にはきっと、渋い表情があるんだろう。

「…ここにいたのですか」

 やっと安心できたのに、聞こえてきたのはお皿と8本腕を連想させる声。…今日は本当に色々な人と会う。

「ご用でしょうか?…アル…フォ●ド…様?」
「…紅蓮、それはチョコレートにクッキーを埋めたお菓子だ。…アルファロ様、紅蓮にご用ですか」
「…」

 …どうしよう。アルファロ様、怒りを通り越して呆れてる。「?」って顔してる。
 アルファロ様は1回目を瞑ってから、

「大した用ではないのですが…なぜでしょう、忘れてしまいました…ボスに関することだったのですが…」

と呟いた。…あまりに呆れ過ぎて記憶が飛んでしまったのか。申し訳ないなぁ…って…
「サントラ様に関すること、ですか?」
「…」
「?」

 今度はアルファロ様だけでなく、全員がシンとなる。

「…ミドラ様」

 低く囁いて教えてくれたのは意外にもグリンパーチ様…自分の働いている組織のトップくらい覚えなさいよ私…

 アルファロ様は、深ぁ〜い溜め息を残して去っていった。
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