long-BestWishes!

□Anything Can Happen.
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 アロエはミルホッグを労いつつボールへ戻し、言う。

「てっきり華やかなだけのバトルになると思ってたけど…いいね、気に入った!
 でもボーヤの攻撃パターンは読ませてもらったよ。次はそう簡単にはいかないから覚悟しな?」

 そんなアロエの言葉を、クレオはフフッと笑う。

「私のパターンを読んだ…? 本気で言ってるんですか、アロエさん!
 私はコーディネーター。パターンに飽きられたら終わりですよ。
 …レントラー戻って。おいで、エンペルト!」

 エンペルトは今度は黒煙も稲光もなく現れた。

「そうかい…ますます気に入った。
 今度はビビんじゃないよ、ハーデリア!」
「ワンッ」

 標的を捉えた瞬間からハーデリアは走り出す。

「よしその調子だ。【シャドーボール】!」
「ワフゥ!」

 ハーデリアは撒くように走り回り、口元に黒く怪しい光が溜まる。
 クレオはシャドーボールの大きさとハーデリア自身の早さから連射してくると予想し、エンペルトに言った。

「【波乗り】で相殺、残りは耐えて!」
「エン…」

 突如フィールドに現れた巨大な高波。85キロ近いエンペルトが乗ってもびくともしなかった。

「ハーデリア、狙いを定めな。焦るんじゃないよ!」
「グルルル…ワンッ!」

 1つ目のシャドーボールは波に当たり消される。
 2発3発と出すも、なかなかエンペルトには当たらない。

「もう一度いくよ、1発に全力を込めな! 【シャドーボール】!!」
「ワンッ!!!」

 クレオが攻撃を受けさせる筈もなく、

「後ろへジャンプ!」
「! しまった…」

 ハーデリアのシャドーボールはさっきまでエンペルトがいた位置を通るも、所詮空振り。
 そして波がハーデリアに迫る。
 ジャンプで逃げるには高すぎる、横に避けるには広すぎる微妙な距離にアロエが眉を潜めると、高波の向こうから声が。

「【ラスターカノン】!」

 【波乗り】は単なる目隠しだった。
 キラリと銀色が光ったと認識した瞬間、波を割り光線がハーデリアの足元に当たる。

「残念、外れてるよ!」
「キャン…!」
「えっ…?」

 足元に光線が当たった衝撃で、ハーデリアの体は宙に投げ出される。
 波はその下に流れ込み、やっと向こう側、緊迫しながらも笑みを浮かべるクレオと何かを構えるエンペルトが見え…

「フィニッシュ、【ハイドロカノン】」
「エンペェェェェ!!」

 空中のハーデリアを、水で出来た砲弾が捉えた。

「キャンッ…」

 ハーデリアは【ハイドロカノン】の勢いをそのまに壁に激突、ずるずると落ちる。

「しっかりしなハーデリア…!」

 アロエの声に1度は立ち上がりかけるも、ハーデリアは倒れた。
 場を包む静寂を破ったのは、審判であるキダチの声だった。

「…ハーデリア戦闘不能、エンペルトの勝ち。
 よってこの勝負、チャレンジャー、クレオの勝利!」
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