long-BestWishes!

□Anything Can Happen.
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「…やった……」

 クレオは戻って来たエンペルトに抱き付くようにもたれかかり(そしてエンペルトは当然のように受け止めた)、勝利の感動を噛み締める。
 アロエは一気にリラックスしたクレオを少し笑って、ハーデリアをモンスターボールに戻した。

「おめでとうボーヤ、いいバトルだった。
 ホラ、これがベーシックバッジさ、受け取りな」
「ありがとうございます…!」

 クレオはバッジを受け取り、ガッシリとアロエと握手を交わした。

「みんな…やったよ、勝ったよー!」

 やっと年相応にはしゃぐクレオに、一同は頬が弛むのを感じた。



 所変わって、カフェ・ソーコのテラス。
 サトシはオレンジジュースを飲むのを中断しクレオに言った。

「さっきのバトル、凄い迫力だったな!
 レントラーもエンペルトも格好よかったぜ!」
「ありがとうサトシ。2人に伝えておくよ」

 ミルクティーをかき混ぜつつクレオはほっと微笑む。
 ポケモンセンターにすぐ向かってもよかったのだが、さっき脱力したものの傍目から見て若干昂っていることが分かるクレオを再びリラックスさせようとデントが連れて来たのだ。
 案の定心地好い日差しとアコーディオンの音色のお陰でクレオはすっかり回復した。
 アイリスはキバゴとクッキーを分け合い、クレオに訊く。

「あんな綺麗なバトル、どうやって思い付くの?」

 デントも、

「僕もそれが気になっているんだ。
 特にレントラー!
 僕が中継を見た時にはあんなにスリリングなテイストではなかったから…ひょっとしてスタイルを固定せず、臨機応変にバトルしてるの?」

 クレオは少し迷ってから言う。

「うん、そんな感じかな…一応みんなベースはあるんだけど、演出に飽きられないようにはしてる」
「なるほど…」
「ナナップ?」

 デントはいつの間にか外に出ていたヤナップを撫でた。
 一方サトシは残りのオレンジジュースをぐいと飲み干して言う。

「クレオもバッジをゲットしたし、早く次の街へ行こうぜ!
 なんだか俺わくわくしてきちゃったよー!」

 アイリスは呆れたようにため息をつく。

「クレオを休ませるためにこのカフェに来たのに、急かしてどーすんのよ…コドモな上にデリカシーが無いんだから」
「なっ…なんだよー…」

 今の台詞に少し違和感を抱いたが、クレオはアララギから貰った地図を見て言う。

「次に行くなら…ヒウンシティがいいんじゃない?
 結構大きな街だし、ジムもあるよ」
「確か途中でヤグルマの森とスカイアローブリッジがある筈だよ。
 ヤグルマの森には草ポケモンや虫ポケモンがいて、スカイアローブリッジはとっても壮大らしいよ…!
 …って、クレオを休ませるためにここに連れて来た僕が言うのもアレだけど」
「デントまで…
 でも面白そうね、キバゴ!
 きっと色んなポケモンに会えるよ!」

 アイリスの言葉に心なしかウズウズとするサトシが言った。

「ってことで、それ飲んだら出発しようぜ、クレオ!」

 クレオも笑顔で返事をした。

「うん! …え、えっ?!」

 驚くクレオに3人も驚く。

「ど、どうしたんだよクレオ…」
「そんなに驚いちゃって…」
「…あ、もう少しゆっくりしていたかったかな?
 殆どノーダメージと言ってもポケモンの回復がまだだし…」
「いや、ちが…あ、回復は確かにまだだけど…」

 きょとんと見詰めてくる3人に、クレオはある疑問を口にした。
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