long-BestWishes!
□Come Along With Me!
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怒りのこもった声にコジョンドが顔を上げると、すぐにロズレイドの十八番である【マジカルリーフ】が降ってくる。
慌てて【スピードスター】で相殺したコジョンドは、再び敵意を込めた視線を投げ掛けた。
「ローズ!」
「コジョ!」
鳴き声が合図にでもなったのか、喧嘩のようなバトルが始まった。
ピカチュウはサトシにしがみつきキバゴはアイリスにしがみつき、デントはクレオにしがみつくわけにいかないので傍に立ったまま呆然としている。
「コジョンド落ち着いて、ロズレイドも…!」
トレーナーであるクレオの指示に2匹は全く耳を傾けない。ロズレイドは上品に振る舞ってはいたが温厚ではないようだ。血の気の多いように見えるコジョンドは尚更。
「仕方ない、エンペルトに…」
「待って!」
クレオは相棒であるエンペルトのボールに手を伸ばすも、2人分の声に止める。
「サトシにデント…どうして?!
ここはリーダー格のエンペルトに任せておく方がいいに決まってるじゃない!」
キバゴを離さないようにアイリスは言った。デントが何か言う時間を与えずサトシはグッと拳を握り、言った。
「確かにエンペルトに助けて貰った方がいいかもしれない。だけど…それじゃあ駄目なんだ!
ロズレイドとコジョンド、それにクレオが分かり合わなきゃ…!」
デントも頷く。
「サトシの言う通り…今ここでエンペルトに頼ったら、後々バッドテイストな関係になりかねないからね」
「そっか…
どうするの?クレオ…」
クレオはボールの揺れを感じ視線を下げた。やはり揺れたのはエンペルトのボールだ。
「うん…分かったよ」
面倒臭そうな揺れ方と何より2人からの助言に、クレオは尚闘い合う2匹を見据え、口を開いた。
「ロズレイド、コジョンド、少し落ち着…」
だが、その言葉は小さな襲撃により途切れてしまう。
「クリュリューッ!」
「うわぁっ?!」
突然サトシの顔面に小さな生き物がぶち当たる。
彼が目を白黒させながら引き剥がしたポケモンは、クリュ、と短く笑った。
「これはクルミルだね…この森に棲んでいるのかな」
「へえ、クルミルっていうのか…よろしくな、俺はサトシ!」
ピカチュウはピョコピョコとサトシの肩によじ登り、ピカ!とにこやかに挨拶をする。
クレオはこっそりと癒されていたのだが、クルミルが口を開いた直後それも終わる。
「ピガガガガガガ?!」
ピカチュウが奇妙な声をあげるので何事かと思い見てみれば、クルミルがピカチュウの頭をカシカシとかじっていたのだ。