long-BestWishes!

□Come Along With Me!
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「ハァッ、ハァッ…よかった、見つけた…!」

 5分程足場の不安定な地面を走っていたクレオとロズレイド、コジョンドは見知った姿にほっとする。
 振り向いて苦笑したのはデントだけで、サトシとアイリスは食い入るように足下を見詰めていた。
 クレオはデントに尋ねる。

「2人は何を見てるの?」

 デントは苦笑して、クレオが見えるように体を少しずらした。そこから見えたものに力が抜ける。

「ポ…ポカァ…」
「キババキ…」

 ポカブとキバゴが、困りきった様子でへたりこんでいた。

「頑張れポカブ!臭いを辿ってクルミルを見つけるんだ!」
「きっとまだ近くにいる筈よ。キバゴファイトーッ!」

 サトシとアイリスは至極真剣に激を飛ばす。

「多分、無理だと思うんだけど…」

 クレオはデントに言った。なんで止めないの、という顔をして。

「止めたんだけど聞かなくて、ね…」

 クレオは肩を落とし、だろうねと手を振った。取り敢えずコジョンドとロズレイドをボールに戻す。
 地道な捜索活動は5分程続いたが、ついにアイリスが音を上げた。

「あーもー仕方ない!
 みんな、あたしについてきて!」
「へっ?」「キバッ?」
「おーいアイリスー、待ってくれよー!」

 キバゴを連れ走り出したアイリスをみんなで追いかける。サトシがアイリスに聞こえるよう大声で訊いた。

「なんでそっちだって分かるんだよー!」
「シックス・センス!第六感ってやつね!」
「また非科学的な…」

 デントのぼやきに、クレオは軽く吹き出した。

「あーっ、いた!」

 突然アイリスが足を止めた。指差す方の木の枝を見れば、そこにはクルミル。

「本当だ…凄いねアイリス!」
「ふふん!でしょー?」

 クレオに褒められ、アイリスは嬉しそうだ。

──あれ?あの塊は…

 デントのみが、木の枝にぶら下がる布製のものに気付いていた。

「なあクルミルー!俺たちと旅しようぜー!」

 サトシの声に、クルミルはおもむろに口を開く。

──あ、まずい…!

 デントが警告しようとするも間に合わず。

「クリュッ!」

 また全員、【糸を吐く】の餌食となった。

「クーリュリュリュッ」

 無邪気に笑うクルミルが、少しばかり恨めしい。
 さあどう脱出するかと思っていると、走る赤い軌跡と男性の声。

「ハハコモリ、【シザークロス】」
「ハハ〜ン♪」

 ぱらりと糸が切れていく。声のする方を見たら、枝にぶら下がった布からバッ!という感じで青年が飛び出てきた。
 屈んだ体勢でしゅたっと着地した人物を、4人はポカンとした表情で見詰める。ハハコモリはその人の後ろに控えた。

「キミたち、怪我はなかったかい?
 …いけないよクルミル、悪戯したら」
「クリュー…」

 ゆっくりと立ち上がった長身の彼は、クルミルに視線をやった後に4人を見回した。クレオを二度見してしまったが、幸い誰も気付いていない。

「助けてくれて、ありがとうございました!
 俺はサトシ。こっちは相棒のピカチュウです」
「あたしはアイリス!この子はキバゴよ!」
「キバ!」
「ポケモンソムリエのデントです」
「ポケモンコーディネーターのクレオです」

 4人の挨拶に目を細めてから、青年も自己紹介を返した。

「ボクはアーティ。それと相棒のハハコモリさ」
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