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「雨降ってきたねぇ」
「うん…あ、よかったら僕の傘使ってよ。駅まで結構するでしょう?」
「それだとデントが…」
「草タイプは水に強いから大丈夫」
「いやそれ関係ないよね」
「いいからいいから」
「あっ、じゃあ一緒に使おうよ!分かれ道まで!」
「…君がいいなら、喜んで」
*
「あれ?デントの家あっちでしょ?このままだと駅に着いちゃうよ」
「いいからいいから」
「えっ、でも…」
「離れると濡れちゃうよ?もっと近くに来て」
「っうん…な、なんか照れくさいね」
「ふふ、そうだね」
*
「結局駅まで来ちゃったよ…」
「それじゃあまた明日」
「あ、傘ありがとう…」
「いいよ、今日は使って?」
「駄目だよデント、風邪引いちゃう…」
「いいのに…あ、ならお礼を貰おうかな」
「え?」
「もう少し近寄ってね。嫌なら殴っていいから」
「うん?、っ!」
「……」
「デン、ト…?」
「…じゃあ、また明日」
「…うん」
目隠しに使う傘の下
「ただいま…」
「おう、おかえりデン…うわどうしたんだよ、ずぶ濡れだし顔真っ赤じゃん!風邪引いてんじゃねーか?」
「風邪じゃ、ないよ。…多分」
「?」