long-BestWishes!

□You Can Call A Storm!
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「ねえ、デント…」

 鼻歌混じりでコーディネーター向け用品コーナーから出たデントの背中を追い、アイリスは困惑の言葉を投げ掛けた。振り向いたデントはリュックにしまったプレゼントを思い出し笑みを溢す。

「クレオへのプレゼント、本当にそれにするつもりなの?」
「え? うん、勿論だよ! 我ながらナイスチョイスだと思うんだけど…
 …あれ? ひょっとしたらバッドチョイスだった、かな…?」

 ところがアイリスの表情を見て、語気は萎んでいった。そんなデントにアイリスはずずいと詰め寄る。

「バッドよ、バッド。超バッド! 本当にクレオがアレを喜ぶと思ったの?!」
「…うん」

 自分はそんなに妙なものを選んだだろうかと、デントは首を捻って考える。それもその筈、本人としてはかなりの自信があったのだから。その様子を見て、アイリスはガクリとうなだれた。

「あのねぇ…忘れたの? クレオは男の子なのよ?!」
「…あ!」

 忘れていた、とデントの表情が語る。アイリスの呆れたような視線にいたたまれなくなった。

「そんな当たり前な事をどうして忘れてたんだろう…!」
「もー…どうするの? 買い直す?」
「うーん…」

 デントは暫く悩み、首を横に振った。

「…クレオには、これを贈りたいんだ」
「ふーん。なら、いいんじゃないかしら。
 デントはクレオのことを考えながらそれを買ったのよね? それが一番大事よ!」
「ありがとう、アイリス」

 アイリスはふふんと胸を張った。

──この調子なら、早く仲直りできそうね!

「さあ、出口に行きましょ? 2人がいるかもしれないわ」



「…いないわね」
「まだ用事が済んでいないのかな?」

 アイリスとデントは待ち合わせ場所として選んだフレンドリィショップ出口付近に着いたのだが、そこにはサトシもクレオもいなかった。
 あっ、と、アイリスが声をあげる。

「そういえば、サトシはソムリエールに相性診断してもらうって言ってたわよね?」
「そうだね…じゃあ、行ってみるよ。せめて片方とは合流しないとね。
 クレオが来るかもしれないから、アイリスはそこで待ってて」
「え? ええ…」

 まだ無意識にクレオを避けているのか、デントはサトシがいる筈の、青い垂れ幕のある場所へ向かった。

「誰もいない…」

 しかし、そこは藻抜けの殻である。駄目元で赤い垂れ幕に並んでいたトレーナーに話を聞けば、そこから3人がバトルフィールドに向かって出ていったらしい。

──もしかして…

 デントは急いでアイリスの所に戻った。アイリスはデントを見た途端に慌てて外を指差す。

「ねえ、あっちにバトルフィールドがある筈なんだけど、この声って…」

 耳を澄ませば、小さく聞こえてきた。

「耐えて、コジョンド…【スピードスター】!」
「コ、コジョ」

 間違いない。

「クレオと、コジョンドだ!」

 2人はバトルフィールドに向かって駆け出した。


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