long-美食會

□目標は高く!
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 本部にて──もう、全く傍観していたくせにお祭り騒ぎだった。使用人と料理人は各自思い思いに再会を喜び、支部長たちは自分の支部の団結力がいかに凄かったかを自慢しあっていた。

「…紅蓮」

 ふとお養父さんに呼ばれ、目線が真っ直ぐ交うようにしゃがむ。

「お養父さんお疲れ様。かっこよかったよ」
「よさんか、照れ臭い」

 お養父さんはちょっとだけ頬の血色をよくして、そこをぽりぽりと掻いた。

「大事に至らんくてよかったの」
「うん、本当に」
「お前が無事でよかった」
「…!」

 お養父さんは、ずっと遠い昔にそうしてくれたように、私の手を握った。

「お養父さん…!」

 回りに人がたくさんいるけど、知ってる人ばっかりだけど、そんなことはどうだっていい。私はお養父さんを抱き締めた。目頭がどうにも熱かった。

「…オホン」

 …クロマド様が咳払いをしたから、仕方なくやめ立ち上がる(離れる間際、頭を撫でてくれた)。全員がクロマド様を注視した。

「みな、無事でなにより…明日からは日常が始まる。気を引き締めていけ! 計画の準備を始めていく!」

 …計画? 事情を知らない使用人と料理人と各支部の下っぱはざわざわとした。ちらりと見るとお養父さんは平然としていた。

「近々、100位圏内の料理人が集まり腕を競うグルメフェスティバルが始まる! 料理人を拐う絶好の機会…心してかかるのじゃ!」

 料理人のブーイングと美食會の雄叫びのような歓声が木霊した。お養父さんに聞くと、この為に新型GTロボを新しく作っているみたい。支部長も副料理長も修行を重ねているみたいで、ボルテージは上がっていった。

「お前もそろそろGTロボの操縦を覚えんとな」
「えっ、私も操縦するの!?」

 お養父さんはこっくり頷いた。…よし、初めてここに来た時からある程度の覚悟は決めてるんだから。お養父さんの為にも頑張らなくちゃ!
 いったいどこにしまってあるのか、人数分のグラスが配られた。それぞれが自分のやるべきことを胸に刻み(料理人達は仲間が1人でも逃げ延びるように祈って)グラスを掲げる。
 カチャンという音があまりに清々しすぎて、悪の組織には似合わないなと思った。

目標はく!
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