long-BestWishes!

□There's No Turning Back.
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 倒れるアロエのポケモン。
 サトシに優しい瞳を向けるアロエ。
 そしてサトシは…

「っ………やったあぁぁぁっ!!」

 共に戦ったポケモン達と、喜びを分かち合った。

「おめでとうサトシ君!
 コレがシッポウジムのベーシックバッジさ、受け取っとくれ!」
「はい、ありがとうございますアロエさん!
 …よっしゃあぁぁ! ベーシックバッジ、ゲットだぜ!」

 ひとしきり喜びを噛み締めた後、サトシは観客席で見守っていた3人に手を振る。

「アイリス! デント! クレオ!
 俺、アロエさんに勝ったよ!」

 観客席組も瞳を輝かせて声をあげる。

「サトシ凄いじゃない! まったく、ヒヤヒヤさせないでよね!」
「いいコンビネーションだったよ、サトシ!」
「おめでとう! 最高のバトルだった!」

 シャワーのように誉め言葉を浴びたからか、サトシは照れ隠しでヘヘッと笑った。

 クレオはサトシに叫んだ勢いで、アロエにも言う。

「アロエさん、次にあなたとバトル出来ると思うと楽しみです!」
「ははっ、そうかい」

 アロエは豪快に笑う。

「あんたにだって手加減はしないよ、ボーヤ。いつだってかかって来な!
 …と言いたいところだけど…」

 言い淀むアロエに、クレオはなぜかウインクをする。

「ポケモンを休ませてあげるんでしょう?
 大丈夫です、明日でも明後日でも1ヶ月でも待ちますよ!」

 アロエはまた笑った。

「そこまでかかってちゃ、ジムリーダーはやってけないよ!
 明日おいで、待ってるからさ!」
「あ…ありがとうございます!」

 嬉しそうにするクレオに、デントとアイリスは微笑ましげに目を細めた。
 サトシもフィールドでウズウズとする。

「明日はクレオとアロエさんのバトルかー!
 っくうぅ〜〜! 楽しみだな、ピカチュウ!」
「ピッカー!」
「…え?」

 すっかりバトルを見る気満々のサトシとピカチュウに、クレオは方頬をピクリとさせる。

「サトシたち、旅の予定は…」
「全っ然大丈夫!
 それに、やっとトレーナーとしてのクレオに会えたんだ、バトルは見なくっちゃな!」
「僕も興味があるな。
 というか…せっかく憧れていたクレオに会えたんだもの!
 ポケモンソムリエとして、ファンとして、テイスティングさせて貰うよ!」
「サトシもデントも、コドモねぇ…クレオ困ってるじゃない」

 少し引き気味なアイリスだが、次の瞬間には「でもっ!」と声高らかに手を挙げた。

「私もクレオのバトル、見たーい!
 シンオウ地方から来たんだから、イッシュ地方にはいないポケモンも持ってるのよね?!」
「…どうする? ボーヤ」
「うぅ…」

 クレオは暫く考えるも、文字通りお手上げして言葉を繋いだ。

「分かった、分かったから!
 …コンテストバトルになっちゃうけど、見てっていいよ…」
「……!」

 沸き上がる歓声は、本日何度目のものだろうか。
 クレオはそっと笑って、1番のパートナーが収まっているモンスターボールをそっと撫でた。
 6個全てのモンスターボールが軽く揺れる。

「もう少し、待っててね…」
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