陽と影

□緊急隊首会
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緊急隊首会



平穏な筈の日々。

昨日、何かあったわけでもなければ先程なにかあったわけでもない。

特に何も起きていない。俺が知る限り。


朝の十番隊隊舎に地獄蝶が何処からかひらひらと舞いこみ、俺がさしだす指に優雅に

着地して伝えた。

"緊急隊首会を開く。各隊隊長及び副隊長は至急一番隊隊舎へ参れ"

そう伝令すれば地獄蝶はまたひらひらと何処かへいってしまった。


松本はまだ出勤してないが、きっと地獄蝶が行っただろうから心配ない。緊急隊首会

に出席しないような奴じゃないのは分かっている。


俺は瞬歩を使い一番隊まで移動した。


やたらでかい倉庫の扉のようなところの前に立ち大声を張る。


「十番隊隊長日番谷冬獅郎、入ります!!」


見た目どおり重い扉を開き中へ入る。
板張りの床を踏みしめる。ギシギシといわず、歩く音がきこえるだけの静かな床。

定位置について辺りを確認すると、半数近くはきているようだ。松本はまだ来ていな

いが。

何故か呼ばれた副隊長たちは、落ち着かない様子でキョロキョロとする奴もいれば緊

張からか強い目をして動じない奴もいる。


「五番隊隊長藍染惣右介」
「同隊副隊長雛森桃、入ります!!」


俺の次に入ってきたのは五番隊。
雛森は俺の幼馴染で、藍染に憧れて五番隊へ入隊した。
藍染は温厚な性格からか、憧れる奴が多い。たしかに頼りがいがあるいい奴だ。


その後、全ての隊が揃って一番隊隊長と副隊長が出てきた。

一番隊隊長の山本元柳斎重國は椅子に座り、その隣で副隊長が立っている。


副隊長はザッと全隊を見渡して、凛と低く威厳に満ちた声で陳述した。


「これより緊急隊首会を開く。今回全隊の隊長、並び副隊長を連れてきたのは紹介し

たいものがおるからじゃ」


紹介したいもの・・・?

者なのか、物なのか、分からない。

でも緊急事態というわけではないようだな。


「ここ最近まで何も無かったが、どういうわけか虚の数が急激に増えておる。大虚が

出たとも聞いた。そのために1度解散した隊を復活させようと思う」


隊って、護廷十三隊以外に・・・?

王族任務を任される零番隊があるのは知っている。でも他に・・・。


「もしかして、特番隊のことかい?」


八番隊隊長、京楽春水が口を開いた。

俺が死神になる前か・・・。


「そうじゃ。知らない者もおるじゃろう。特番隊、正式名特別応援部隊。主に大虚討

伐や緊急時に先頭をきる部隊じゃ」


ということは、戦闘能力も伊達じゃねぇってことだな。

十一番隊にも勝てるほどの戦闘スキルがあるのか。


「今日は特別応援部隊の隊長と副隊長がきておる」


「「失礼します」」


総隊長の言葉が合図なったかのように扉から2つの声が聞こえた。

男性ではあまり低くないテノールの声と、キンとうるさくはない透き通った女性の声




「特別応援部隊隊長如月翡翠」
「同隊副隊長森川休迩(もりかわ きゅうじ)」
「「入ります!!」」

入ってきたのは黒髪に藍色の瞳の副官章をつけた男と、淡い茶髪を編んだ俺と同じ碧

翠の瞳の隊首羽織を羽織った少女だった。




 

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