LongNovel

□臆病なぼく芳しいきみ素晴らしきとも
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嗚呼、なんでこんなにも上手くいかないんだろう。


君を誰より愛しているのは、
俺なのに。


だからこそ、
だからこそなんだ。



「お前は、無理・・・」

「・・・そ、」

「女として見るなんざ、出来ねぇ」



違う、違う、ちがう、チガウ!
そんなの嘘。
いつもお前しか、この深紅には写っていなかったよ。

でも、それが。
いけないんだってわかったんだ。



「マカは、パートナーだよ」

「そっかぁ、そーだよねぇ」



アハハ。って渇いた笑い。
泣きそうな睛で、必死に涙を堪えてた。

こんな顔を、させたいわけじゃ無かったんだ。

見たかったのは、もっと、
花の咲くような笑顔。



「ごめんね、ソウル、ちょっと出かけて来るね」

「・・・マカ」

「心配しないで!大丈夫だから」



俺は耳を疑った。
最後のマカの言葉。

あいつ、今



「じゃあね、バイバイ」



バイバイ、って。
何だよそれ。

そんな胸糞悪い言葉、はじめて聞いたぞ?

いつも、出掛けてくときは、
行ってきますって、言ってたじゃねぇか。

登下校だって、一緒なんだ。

おはよう、
行ってきます、
ただいま、
おやすみ。

これで間に合うだろ?
バイバイなんて、要らない言葉使ってんじゃねぇよ。



そんな悶々とした思考を処理してるうちに、マカはさっさと消えていて。

俺の呼吸と、時計の針だけが、
虚しく空気を振動させていた。





「・・・畜生」





あぁ、好きだと言って仕舞えればどれだけ楽だろうか。

あぁ、抱きしめてあげられたらどれだけ幸せだろうか。





「バイバイなんて、無理だ・・・」




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