LongNovel

□臆病なぼく芳しいきみ素晴らしきとも
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あぁ、なんでそんなに悲しそうな睛なの?

悲しいのはこっちよ。
涙腺が緩んで涙が零れ落ちそう。



「・・・ぅ、あ・・・」



声にならない叫びとなって、
込み上げる嗚咽は震える。



「そ、るっ・・・そ」



あなたは、狡い。
私の心を縛り付けて逃がそうとしない。
愛してなど、くれないくせに。

好きで好きで仕方なくさせる。

愛してなど、くれないくせに。



「うぁ、あァァァァっ!」



嗚咽がやがて悲鳴となる。
ああ、こんなにも私の心が軋んでる。
全部全部、あなたのせいよ。



夜の街に悲鳴だけが響く。
寂しい残響。



ねぇ、私どうすれば良いの?

最後の砦は、もう意味はない。
さよならを言ったって、
あなたは追ってすら来てはくれない。



ねぇ、私どうすれば良いの?

行くあてなど、無いというのに。

あなた無しでは、
もう生きてなどいけないのに。





「・・・マカ?」





求めていたモノとは違う。
でも、少なからず私を救う声。





「・・・キッド、君」





君もそんな哀しそうな睛をするのね・・・。





「何か、あったのか?」

「は、はは、ソウルに、フラれちゃった」

「・・・っ!」





私を包む君の嫋かな腕は、
酷く優しく、
酷く哀しく、
酷く甘く、



酷く苦かった。





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