短編集
□想い出
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三年間着慣れたこの制服を、明日から着れなくなると思うとちょっぴり寂しい。
並盛中学は、色々な人に出会ったし、色々な事が起きた。
ツナ君に出会えて、山本君や、獄寺君、花にも会えた。
理由がなくても会えたこの場所も、もうこれからは理由がないと会えなくなってしまう――――――…
複雑な思いを胸にしまいながら慣れた手つきで制服に着替え、髪をとかして、下へ下りる。
――――もちろん、お兄ちゃんの部屋からは何も聞こえない。
これもいつものことだった。
フットワークも、中学校を卒業してからは、高校へは進学せず、修行と言って朝から晩までフットワークを毎日している。
…今日くらい帰ってきてくれてもいいのに…と呟く。
いつもの道をいつもの時間に通り過ぎていく。
途中で花に会いしばらくは言わないだろう、“おはよ”を2人同時に口に出す。
そして学校へ行く。
花と話していると、本当に今日で卒業かと思うくらいいつも通りだった―――――
花とは、同じ高校を受験したが花は、あとすこしのところで落ちてしまった。
最初のころは何度も謝っていたが、今はもうそんな面影をみせず、前と変わらなくなった。
それを嬉しいような寂しいような気持ちになった。