短編集

□さようならと
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『ツナ君、いきなりどうしたの?』


『…俺は…変わるんだ』


ツナ君のその決意したような声が私を硬直させた。


『…俺、京子ちゃんとはもう他人なんだ。友達でも恋人でもない…。……ただの他人。』


『どうしていきなりそんな事言うの!?私、ツナ君と一緒なら命を狙われてもいい!!だから…そんなこと言わないで』


これがその時の私の精一杯の引き留める言葉だった。


『…今までありがとう…――――さよなら』


そう言うと、ツナ君は私の横を通り過ぎた――――


私の涙を見ることなく…


私は、待って!の一言が言えなかった…ただ、ツナ君の背中を見つめるしかなかった。

パタンと閉まるドアの音がまるで、ツナ君と私の関係に終止符をうったようだった―――――
 







その後は、覚えていない。

気づいたら、私は学校の保健室のベッドの上だったのだ。

シャマル先生に聞いても、何も教えてくれなかった。

そして、ツナ君が転校した日、私はツナ君の家に行った。

ツナ君は、一足はやく卒業アルバムを貰うはずだったが、業者さんが遅れて私が届けることになったのだ。
 


ツナ君の家のインターホンを鳴らすと、ツナ君のお母さんが出てきた。

卒業アルバムを差し出すと、受け取ってくれたが悲しみが入り混じった笑顔を見せた。

お母さんの話によると、私と別れる前の日、リボーンちゃんとツナ君は下にも聞こえるくらいの大喧嘩をしていたらしい。

それは、ランボちゃんたちが相当怯えていたらしい。

その時折聞こえたのは、私の名前だったそうだ。


『もう、あの子はイタリアに行ってしまったわ。私に何も言わないで。まるで自分の父親を目指すように。

でも……でもまだ子供ね、テーブルの上に、あなた宛の手紙が置いてあったわ。ホント…子供なんだから』

そう言うと、私に真っ白な手紙を差し出した。

私は、ツナ君のお母さんにお礼を言おうとしたが、上手く声がでなかった。

そして、そっと手紙を開けた。

よほどお母さんたちの事を信頼していたのだろう。

封筒には何も貼ってあったりなどはされていなかった。

そして、内容を読んで私は急いで空港に向かった―――――
 
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