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□何が正で何が否か【執筆中】
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「・・・結音!」
私は紀田結音、高校1年生。
家から遠いけど兄と同じ学校を選んだ結音は、今日から池袋で兄と一緒に暮らすことになった。
「お兄ちゃん!ひさしぶり。」
にこっと笑いかけたその人は1年ぶりに会った兄、紀田正臣。
「元気だったのか?てか、大きくなったなぁ。」
「・・・お兄ちゃんはおじさんくさくなったね。」
こんなやりとりをするのも2年ぶり。
可愛くないことを言っていても本当は私も嬉しい。
頭ののかを昔にタイムスリップさせていると
「とりあえずー・・・家、行くか!」
荷物も大変そうだし、と私の持っている鞄を指差し苦笑混じりに正臣は言った。
「うん!」
そう答えると同時に正臣は結音の持っている鞄を持ち歩き出す。
変わってないなぁ・・・
放任主義の家で育った私は毎日寂しい思いばかりしていた。
そんな私を救ってくれたのは兄、正臣だった。
このさりげない優しさに何度助けられただろうか。
1年間のブランクがあったわりに、話は途切れる事無く、目的地に着くまでお互いの生活のことなどを話していた。