『短編集』

□優しい人…?
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―体調崩した。
ここ数日、勉強のため寝不足だったのもあり風邪をこじらせてしまった。熱はそれほど無いが吐き気するし、食欲も無い。
家に帰ってそのままソファにばたんきゅぅ。
なんでこんな日に限ってコイツは来るかなぁ…。


「あー。今日はマジでムリ。帰ってくれ。」
「顔色悪いね◇」
「分かったらさっさと帰れ。テメーもさすがにヤってる時に吐かれたかねーだろ。じゃな。」
「………◇」
そう言って追い出そうとしたけどコイツは帰る気配無し。それどころか寝室に連れ込まれた。
「こっちの体調なんてお構い無しかよ…。最低だなお前…。」

抵抗する気力も体力も無い俺はベッドの上でシャツとスラックスを淡々と脱がされ、とうとう下着一枚にされてしまった。
…いつもはもっとねちっこく脱がせてくるくせに変だな…それに無表情だし機嫌悪そう。

「………何してんだ?」
何故か今度はTシャツとルームパンツを着せられた。要するに部屋着に着せ替えられただけ。
「スーツのままじゃ寝苦しいでしょ。」
「………しねーの?」
「君がしたいならするけど?」
俺は頭を横に振りしたくないと答えた…。
「食欲は?」
「…無い。」
「そう。じゃあもう休んでなよ。」
「…ん。」
ヒソカは俺の頭を撫でてそのまま寝室を出て行ってしまった。…最低なんて言って悪かったかな…。


いつの間にか眠ってしまった俺は名前を呼ばれ夜中に起こされた。
「…お前まだいたのかよ?」
「コレ食べて。お腹空っぽじゃ薬飲めないでしょ?」
ベッドの傍らに座ったヒソカの差し出したトレイにはお粥。食べやすくみじん切りにされた野菜入り。あんまん食欲無かったけど一口食べてみた。あっさりして食べやすい。
「…美味しぃ。」
「当たり前でしょ。僕が作ったんだから♪」

俺はお粥をたいらげ薬を飲み、またベッドに横になった。
「おい。風邪移るから帰れって…。」
隣に潜り込んできたヒソカを押し出そうとしたが、やっぱりお構い無しだ。
「僕、風邪引いた事無いし大丈夫♪」
そう言って腰に手を回してきたがそれ以上何もしてこなかったのでそのまま眠る事にした。


「あー。えと、お粥ありがとな。あと…最低とか言って悪かったな…。」
「…別に気にしてないよ。オヤスミ∨」
ちゅっと俺の頬に口付けてヒソカも眠りについた。

「…おやすみ。」











―翌朝

全快した俺はヒソカに美味しくいただかれた…。
謝るんじゃ無かった…。

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