『短編集』
□我儘
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とある日の夜ー
「ハラ減った。メシまだ?」
「…インスタントじゃないんだからそんな直ぐ出来る訳ないでしょ◇ もう少し時間掛かるからお風呂でも入ってきなよ。」
ご飯を作りだしたのはつい2〜3分前なのに…せっかちだなぁ◇
「んじゃそうする。風呂あがるまでに作っとけよ〜。」
バスルームに入ったと思ったら、レオリオは直ぐに出てきた。
「おい。風呂沸いてねーぞ。」
「…シャワーにすれば?」
「ヤダ。疲れてるしゆっくり湯船に浸かりたい。」
それだけ言うとソファに腰掛けるレオリオ。
仕方ないなぁ◇
「お風呂入れてくるからお鍋のスープ見ててね。」
「ん。」
掃除はしてあるからお湯を落とすだけ。1分も掛からない。キッキンに戻るとコンロの前にレオリオ。
…明らかにスープの量が減ってる◇
「レオリオ…、つまみ食いしたでしょ?」
「だってハラ減ったんだもん。」
「はぁ。確か冷蔵庫にドーナツが入ってたから取り敢えずそれ食べたら?でも食事前だから一個だけだよ◇」
「…分かった。…ドーナツ食うからコーヒーか紅茶入れて。」
「…◇」
何だろう?今日は随分と注文が多いなぁ◇
「…で?メシまだ?」
ドーナツとコーヒーをたいらげたレオリオはまたご飯の催促。
「…もう少しで出来るよ◇」
「あっ!洗濯してたんだった。」
レオリオは思い出したように脱衣室に消えた。
バジルソースは出来たし、後はチキンが焼きあがるのを待つだけ♪
「ヒソカ…。俺のシャツが変な色になった。」
そう言って脱衣室から出て来たレオリオの手にはピンクと赤のまだら模様のワイシャツ。
「レオリオ…赤いTシャツか何かと一緒に洗ったでしょ…?」
「元に戻せ。」
「え〜。ナニその無茶ブリw」
「奇術師に不可能は無いんだろ?」
「…シャツ沢山持ってるし別にいいじゃない◇」
「だってコレ気に入ってたし。」
「…明日いつものお店でコレと同じ着地とデザインで仕立ててもらうよう手配してあげるから…◇」
「むー。分かった。……お?いい匂い。」
しぶしぶ納得したレオリオは鼻をクンクンさせながらフライパンを覗きこむ。
「あ。レオリオ、火止めて。」
彼がコンロの火を止めたのを確認して僕は食器棚からお皿を取り出した。くるりとコンロの方に振り向くとレオリオのお口がモグモグしてる…◇
「…また、つまみ食いかい?」
はぁ。4枚あったチキンは3枚になってた。
「だって腹ペコ。」
「もう出来たから座ってて◇」
テーブルに並ぶ夕食はレオリオが普通に一人分。僕は少し少なめ。レオリオがつまみ食いしたから。
でも、それを見たレオリオは眉間にシワ寄せて怒ってるし…意味分かんないだけど…◇
「なんで怒らねーんだよっ!!」
「へ?……なんでって言われても◇
別に怒るような事されてないし♪」
「しただろーが!一杯我儘言ったし!つまみ食いもしたし!」
「我儘…?う〜ん。別に気にならなかったケド…。まぁ、甘えん坊で可愛いなぁ。とは思ったよ∨」
「か、可愛いっ!?どこがだよっ!」
だってホントにそう思ったんだもん。クロロやイルミに比べたらレオリオの我儘なんて可愛い方だよ。あの二人は本気でとんでもない無茶ぶりしてくるからなぁ◇
「そんな事よりご飯食べようよ∨」
「…俺の少しやる。つまみ食いしたし…。」
「僕、そんなにお腹すいてないし気にしなくていいよ♪」
「ダメ。ちゃんと食え。」
そう言って僕のお皿にチキンを分けてくれるレオリオ…ホントに可愛い∨
「ふふ。ありがと♪しっかり食べて今夜も頑張るよ∨」
「………やっぱり返せ。」
「ところでなんで怒らせたかったの?」
「お前が俺みたいに声荒げて怒るとこ見た事無いからなんとなく…。」
「ナニソレw」