『短編集』

□パラディナイト!!
1ページ/3ページ

久しぶりに実家に電話した。



「あー。もしもし。かーちゃん?俺だけど。」
『オレオレ詐欺なら間に合ってます。』
「テメッ!息子の声も忘れたのかっ!?レオリオだよっ!何がオレオレ詐欺だっ!」
『ったく。相変わらずうるせーな。ちょっとした冗談だろ。で、なに?金なら貸さねーぞ?』
…俺の口の悪さは母親譲りだな。てか、久しぶりに話した息子に対してなんつー冷たさだ。まぁ、それはこの際どーでもいい。
「金じゃねーよ。あー、えと…」
『じゃなんだよ?用があるならさっさと言えっ!こっちは忙しいんだよ!』
「あー…子供出来たから結婚する事にした!つーかもう結婚したからっ!!じゃ!」

それだけ言うと電話を切った。はぁ。今頃かーちゃん卒倒してんだろーな。


プルルルルッ、プルルルルッ…
携帯が鳴り着信画面を見る。予想はしてたがやっぱり親父からだった。出たくねー。

「(ピッ)…なんだよ?」
『なんだじゃねーっ!このバカ息子が!あれほど避妊はしろと言っただろうがっ!』
「るせーな!出来たモンは仕方なねーだろが!」
『仕方ないとはなんだ!? まったくお前は…で?相手はどこのお嬢さんだ?美人か!?巨乳か!?』
…俺の女好きは親父譲りだな。
「美人でも巨乳でもねーよ。別に相手はどーだっていいだろが。」
『いい訳あるか!?孕ませたんだから菓子折の1つや2つ持って詫びに行くのが筋ってモンだろうが!式の日取りだってあるし…』
「式なんて挙げねーし、詫びる必要もないっ! 産むのは俺だっっっ!!!」
『…へ?……え?……???』
「じゃ、そーゆー事だから。またなー。」

はあー。電話を切って深いため息ひとつ。
そう。妊娠したのは他でもない俺だ。

「ボク菓子折持ってお詫びに行った方がいいかな?」
「黙ってろっ!諸悪の根元!!」
俺の背中にベッタリ張り付いた変態を涙目で睨みつけた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ