『短編集』

□ぺいんと
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とある日の朝。


朝食を終えたレオリオがリビングルームで食後の珈琲を飲んでいると、昨夜から泊まっていたヒソカが今夜は闘技場で試合があるからとソファに座り手鏡を片手にフェイスペイントを描き始めた。普段メイクなんてする事のないレオリオはメイクブラシで右頬に器用に星を描いているヒソカを面白そうに目を丸くして眺めていた。

「雫はキミが描いて♥」

レオリオの視線に気付いていたヒソカがここにおいで、と自分の隣に座るよう促すとレオリオは素直にヒソカの左隣に座った。
ソファに並んで座りレオリオがヒソカの左の頬にメイクブラシで雫のペイントを描こうとしたが手が長いせいかソファの背もたれに肘がつかえて描きにくい。それに気付いたヒソカはそれならこっちにおいで、と自分の太ももをぽんぽんと叩いた。
ん。と短い返事だけ返すとレオリオはまた素直にヒソカの太ももを跨ぎ向かい合うように膝に腰を降ろした。

ベッドでもこのくらい素直にボクに跨がってくれればいいのに☆、とヒソカが小さなため息を溢す。

「動くなよ。描きにくいだろが。てか今のため息はなんだ?言っとくけどぜってーしねーからな!」

「むぅ…ケチ♠ 騎乗位くらいしてくれてもいいじゃないか♦」

以心伝心とはこのことだろうか…ため息ひとつで自分の考えていた事がよく分かったな、とヒソカが苦笑した。

レオリオは腰に回された腕を気にするでもなくヒソカの左頬に楽しそうに雫を描いている。筆先に集中しているせいなのか唇は半開きになっていた。
目の前には無防備で柔らかそうな唇。ヒソカはキスしたい衝動にかられたがレオリオが楽しそうなので我慢した。



「出来たっ!…ん〜?なんか違うよーな…。」

なにが違うんだろう?、とヒソカが手鏡で確認すると左頬にはいつもより少し太めの、まるでデコメ絵文字のようなぷくっとした雫が描かれていた。

太すぎ☆、とヒソカは苦笑したがせっかくレオリオが描いてくれたから、と描き直さなかった。


ヒソカはいまだ膝に座っているレオリオの腰を抱き寄せ口づけるとそのままレオリオのシャツの中に手を忍ばせた。
唇が離れ、また口づけようとヒソカがレオリオの頬に手を伸ばすと…

ゴスッ!と鈍い音と共にヒソカに頭突きがプレゼントされた。



「ったく。…夕べ散々ヤったクセに朝っぱらから盛ってんじゃねーよっ!」



チェ☆、と拗ねてみせたヒソカは闘技場に向かう船の中、ひとり頬のペイントにそっと触れくすぐったくも嬉しい気持ちで自然と頬が緩んだ。





「今夜の試合…左頬は殴られないよう気を付けなきゃ♥」












ーあとがきー

ヒソカのフェイスペイントを描いてあげるってありがちなネタだよなぁ〜、と思いながらも書いちゃいました(笑)私的には満足です(*≧∀≦*)

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