『短編集』

□ぺいんと 2
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*


「ん〜。そろそろ寝るか。」
ペンを置き参考書を閉じると肩の関節をポキポキッと鳴らしながら伸びをする。時計を見れば午前2時。

試験が近いレオリオはここ数日、深夜まで勉強していた事もあり若干寝不足気味だ。

ベッドにぽすっ、と横たわりカーテンの隙間から射し込む月明かりに目をやるとぼんやり浮かぶ蒼白い顔。
「ひぃっ!……って、テメーはそんな所で何やってんだよ!」
窓の外に張り付いた人影に一瞬背筋をゾッとさせたが携帯電話のバックライトを浴びて幽霊さながらのその顔には見慣れたフェイスペイント。

「や、久しぶり♪」
「どこが久しぶりなんだよ。テメー昨日もウチにいただろが。」
「まぁまぁ♪それより泊めて♥」
「帰れっつってもどうせ勝手に泊まるクセに…。寒っ!いいから早く窓閉めろよ。」

ついこの間まで裸で寝ても平気なくらい暑かったのがここ数日で急に夜が冷えるようになってきた。

まだ衣替えも出来てないし布団も夏物のタオルケットだ。

レオリオが布団に潜り込むとヒソカも靴を脱ぎそのまま隣に寝転んだ。

「着替えねーのか? メイクくらい落としてこいよ。」
「ん〜。面倒だし明日でいいょ♢」
「たく。んじゃオヤスミ。」
「オヤスミ♪」

寒いから、と言い訳してヒソカの腕の中でレオリオはぬくぬくと就寝。







翌朝。携帯のアラームに目を覚ますと何故か満面の笑みを浮かべているヒソカと目が合った。
「…何ニヤニヤしてんだよ。」
「ホント、キミは可愛いねぇ♥」
「はぁ!?テメーは朝っぱらから気持ちわりー事言ってんじゃねーよ!」
「はいはい♪ 朝御飯作るからキミは先に顔洗ってきらたら?ふふっ♥」

ちゅっと額に口づけてヒソカはキッチンに消えた。

「ホント…朝っぱらから何なんだよ?変なヤツ。」



レオリオは全面台の前に立ち目の前の鏡を覗きこむ。
「なんだコレ…。」
そこには額にくっきりと滴模様のフェイスペイントの付いた顔が写っていた。

ヒソカの頬にピッタリと額を寄せて寝ていた為、ヒソカのフェイスペイントがそのままついてしまったらしい。

夕べは寝ぼけてたとはいえ寒いから、とヒソカに自ら抱きついたのを覚えてる。

かぁっ、と頬を染めながらその熱を冷ますようにレオリオは顔を洗い流した。



キッチンにはご機嫌で朝食を作るヒソカ。

「テメーのヨダレがオデコに付いてた。」
照れ隠しの冗談にヒソカは「ヒドイなぁ♧ せめて涙って言ってよ☆」と苦笑するとまたすぐに嬉しそうに笑った。

「う〜。ニヤニヤすんなっ!」

「♥」




テーブルにはほんのり甘いパンケーキにちょっぴり酸味の効いたベリージャム。


「食べさせてアゲル♪ハイ♪あ〜ん♥」

「…………。」

「ほら、おクチあ〜ん♥は?」

「………アーン(TдT)…トホホ。」

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