『短編集』
□11月11日
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11月11日。夜。
「ただいまー。」
「おかえり〜♪」
独り暮しの誰も居ない筈のアパート。何気にただいまって言ったら返事が返ってきた。
・・・別にテメーに言った訳じゃねーよ。てかまた来てたのか。
取り敢えず着替えよ・・・。
ソファに深々と腰掛けて指先でひらひらとトランプを弄ぶヒソカの横を素通りしようとしたらくいっと手首を引かれヒソカの上に座らされた。互いが向かい合うように。
「んだよ?」
「んふふ〜♪ 今日はなんの日か知ってる〜?」
「・・・。」
ポッキーの日だろ?んな事分かってる。コイツのこのニヤけた顔にもヤな予感しかしねーし。
気が付けばトランプはポッキーの箱に替わってた。
「ポッキーの日♡ ね?ポッキーゲームし「俺プリッツ派だから!!」
「♤。じゃ、プリッツゲームでいいよ♡」
ヒソカが掌をくるりと翻すとポッキーはプリッツに早変わり。
なんでそう無駄に器用なんだよ。てか準備万端だな。くそっ。
一本を取り出して口にくわえると“ほら、早く”とねだるように顔を突き出してきた。
パキンッ!!
「カリッカリッ…ん。俺の負け!はい。しゅーりょー。」
「・・・わざと折ったでしょ♤」
「あたりめーだっ!なんでヤロー同士でこんな事しなきゃなんねーんだよ!?フツーは可愛いー女の子とするもんだろがっ!?」
「ふぅん。女の子とならするんだ?」
「えっ?いや、その・・・。」
止めてくれる?殺気だだ漏れのその冷た〜い目。
・・・・・。
・・・。
「わ、分かったよっ!やりゃいーんだろ!?やりゃ・・・」
重く冷たい沈黙に耐えきれず覚悟を決めた。
“分かればいいんだよ♪”とヒソカはニンマリと笑いまたプリッツを一本口にくわえた。
カリッ
カリ。カリ。カリ。カリ。。。
くっそ。恥ずい。
カリ。カリ。カリ。カリ。。。
こうなんてゆーか、顔がじわじわ近づいてくる感じが・・・。
カリ。カリ。カリ。パキッ…
「あ・・・。」
「♢」
「お、俺じゃねーぞ!」
そう。俺じゃない。
顔がギリギリまで近づいたところで鼻がぶつからないようヒソカが少し顔を傾けた拍子に折れてしまった。
「むぅ〜。もういっか「しねーって。お前の負け!だいたいなんでこんな事したがんだよ!?」
「え〜。だってこうでもしないとキミからキスなんてしてもらえないし〜♢」
「・・・。」
そ、そんな理由で・・・よくこんなこっぱずかしいマネ出来るな。
「ねぇ〜。もう一回〜♪」
カンベンしろよ・・・ったく。
ちゅ。
「ほら。これで満足だろ?」
あんな恥ずい事何度もやらされるくらいなら自分からキスしたほうがまだマシだ。さくっと終るし。
「・・・足りないからもう一回。」
ちゅ。
「もう一回。」
ちう。
「もうい(グ、グゥ〜〜)・・・☆」
ムードもへったくれもない俺の腹の虫。
一瞬 間があいてふと我に返ると今更ながらにカァっと恥ずかしさが込み上げてきた。
「も、もう終わりっ!俺は腹減ってんだよっ!メシっ!」
「はいはい♪ じゃあ、続きは食事の後って事で♪」
ー 勿論ベッドでね♡って満面の笑みのヒソカに、今夜も寝かせてもらえそうにないと俺は悟った・・・;▽;
End.