『短編集』

□猫になったひそか
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*


見慣れた景色に嬉しくなり、走ってレオリオの住むアパートに向かうヒソカ猫。

やっと永い旅が終わりました。

しかし肝心の玄関を開ける事が出来ません。

ドアノブにジャンプして開けようと試みましたがカギがかかっていて開きません。気配はするので留守ではないようです。

「ニャニャ〜ン☆」
(開けて〜☆)

しばらく鳴いているとカチャリと扉が開きました。

会うのは1週間ぶりです。

たったの1週間。

それでもヒソカ猫にとってはとても永くて寂しい1週間でした。

嬉しくて嬉しくて、飛びつきました。

レオリオの体によじ登って頬ずりするヒソカ猫。

「うわっ!くさっ!野良猫かぁ?」

「ニャニャ〜♪」
(レオ〜♪)

「どした?行くとこ無いのか?ウチじゃ飼えないぞ?」

「ニャーニャ、ニャニャ〜?」
(ボクだよ、わからないの?)

とりあえず食わせてやる。と家に入れてくれたレオリオは自分の夕飯を分け与えてくれました。

綺麗にすれば誰かが飼ってくれるかもしれないから。とお風呂にも入れてもらいました。

レオリオの膝の上に抱き抱えられ、ふわふわのタオルにくるまれて体を乾かしてもらいました。

「は〜。お前綺麗な猫だなぁ。これならすぐに飼いたいって奴見つかるかも。明日大学で聞いてきてやるからな。」

(レオは優しいにゃあ。というよりお人好し…◇)

「ん〜?お前メス?それともオスか?」

レオリオはヒソカ猫を持ち上げて性別を確認します。

(そんなとこ見つめるにゃよ☆興奮しちゃうじゃにゃいか♪)

猫になってもヒソカはヒソカのようです。

「新しい飼い主が見つかるまでは居てもいいけどあんまりニャーニャー鳴くなよ?ウチのアパートはペット禁止なんだから。」

(興奮してる場合じゃないにゃ!新しい飼い主なんていらないにゃ!ボクはヒソカだってなんとか伝えにゃいと…)

ヒソカ猫はレオリオの膝の上から飛び降りるとテーブルの上の携帯電話を器用に操作しはじめました。

「ん〜?携帯でなに遊んでんだ?…うわっ!」

なんとかメールを起動させたヒソカ猫。
小さな肉きゅうを駆使して文字を打つ姿にレオリオもびっくりしたようです。

ぼ く ひ そ か ☆

「ぼくひそか☆?………え゛?ヒソカ?」

ニャ〜ン♪

続けて文字を打つヒソカ猫は猫にされたいきさつを説明しました。


「闘ってて念で猫にされたのか?相手は?」

こ ろ し た ☆ テ へ ♪

「テヘ♪じゃねーよっ!アホかっ!」

ニャ〜…。



自業自得じゃねーか。と思ったレオリオでしたが悲しそうにしょんぼりしているヒソカ猫を見てレオリオも少し悲しくなりました。


「しょうがねーなー。今日はもう遅いから明日の朝お前の知ってるっていう徐念師ってのに電話してやる。」

ニャ〜ン♪

優しいレオリオにヒソカ猫はまたまた嬉しくなり足元に擦り寄りました。

すると、ひょいと抱き上げられ腕の中に。そのままベッドまで行くと、もう寝るぞ。と温かい布団の中へと潜り込みました。


「早く元に戻れるといいな?」

ニャ〜。


「ところでお前1週間くらい前に俺に電話した?」

ニャンッ♪

「……お前…アホだな。」

(………☆。ちょっとテンパってただけにゃ◇)

「おやすみ。」

ニャ♪



ヒソカ猫にとっては久しぶりの温かい寝床、レオリオの腕の中でとても安心してぐっすりと眠る事が出来ました。







翌朝目が覚めるとヒソカ猫は人間の姿に戻っていました。
なぜ戻れたのかは分かりません。



「なんで戻れたんだ?」

「君の愛の力とか∨」

「…アホか。恥ずい奴。」




めでたしめでたし。
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