dream

□大誤算
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俺たち3人は中庭の草陰に隠れ、チャンスの瞬間を今か今かと待っていた。

次々に各々の寮から大広間に向かう生徒の波。一角の大きな波のなかに、今日のターゲットを見つける。


「いた」

「今日もとびきりのさわやかイケメンくん」

にやにや笑うリーは、少なからずこの前のクディッチの試合でのセドリックの人気ぶりに嫉妬している男の一人だ。
リーの好きな女の子はセドリックと同じ寮で、彼に渾身の熱を込めて黄色い声援を送っていた。


はっきり言って、俺には女の子に夢中になっては一喜一憂するリーやフレッドの気持ちがよくわからなかった。

恋愛ってよくわからない。

1年生の頃から、女の子には人気があった方だと思う。自慢ではないが、告白されたり惚れ薬を仕込まれたお菓子を渡されたりすることはかなりあったから。
フレッドはそれを喜んで、いろんな(人数も名前もあまり覚えていないが)女の子と付き合ったりしていたが、俺にはよくわからなかった。
だって、恋愛のなにがいいんだ?今の俺には必要ない。最高の友達と毎日楽しく過ごせればそれで十分だった。そりゃ、俺も男だからさ、女の子とあんなことやこんなこt(自重)…に興味はなくはないけど、そういうのは気持ちがあって初めて意味をなすことであって。女の子の友達は多かったけど、特別な感情や興味は湧かなかったんだ。



だから、「とうとう相棒にも春がきた!」とフレッドはからかったけど、きみと仲良くなりたいって思うこの感情はそんなものではなくて、純粋なものだと思う。



昨日図書室でセドリックと一緒にいたきみを見かけて、この胸のムカムカの正体が何なのか――
理解できなかったけど。


奴の驚いた顔や赤くなった顔を見たら、すっきりするような気がしていた。
悪戯できて楽しめて、一挙両得ってやつだ。
さらにハナコが少しでも気にかけてくれたらこんなに最高なことはないが――







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