dream

□はじめての会話
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「こっちだよ」


俺はハナコを、ある浴室に案内した。忍びの地図で知った、監督生だけが使えるという秘密の浴室だ。
ハナコの体にかかった魔法の香水は、髪や服の繊維などの糸に付着すると花が小さく根を張り咲くように作られた。ミストに含まれる粉末を落とさない限り、花は咲き乱れて体を覆いつくしてしまうのだ。


今の時間は監督生たちは朝食を食べている寮生たちを見ているから、監督生たちの浴室には誰もいない。


「ここは誰もいないから、お風呂に入って香水を洗い流して。花もお湯で洗ってしまえば溶けてなくなるはずだから」

「…うん、なんだかもったいないけど。ありがとう」

「俺はドアの前で誰も来ないように見張っているから、ゆっくり入ってきていいよ」

「悪いわ…」

「いっや、自業自得ってやつさ!」

「ふふ、ありがとう」


そう言ってハナコは浴室に入って行った。


「はぁ…」




ハナコはやっぱりかわいい。
偶然の出来事とは言え、きみと話せてうれしくてつい頬が緩む。
ニヤニヤが止まらない。







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