novel

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高3の終わり──。



既に登校日も終わり暇を持て余す毎日。

街に出れば同学年で見たことがあるような人をよく目にする。


俺、佐々木杏華は今日もカラオケへと向かっているところだ。

歌うのが好きでよく一人でカラオケに行っていたが、登校日が終わり今まで以上に頻繁に行くようになった。




──あぁ、ちなみに俺は女である。


茶髪気味の短髪をワックスで跳ねさせ、男っぽい服装にこの口調。

身長も女子の平均より高めで目付きも少々悪いため、初対面の人からしたら確実に男だと思われるだろうと自分でも自覚している。

学校でも制服のため服装こそスカートだったが、口調は男そのもの。


なんでこんなことをしているのかというと単に男装が好きだからで、男に憧れている部分もあるからである。

もともと男っぽい性格ゆえに、女の子らしい行動なんてした覚えがなく、泣いたことなんて一度もない。



本当なんで男に生まれなかったかな、俺…。




なんて思っている間に、目的地に到着。

今日は平日だし予約を取る必要もなく、店員に会員カードを渡して名前と人数と時間を書く。


「あの…、すみません…」


肩を軽く叩かれ声がした方に振り返ると、黒髪のツインテールの女の子が遠慮がちにこちらの様子を伺っていた。

恐らく他の高校の生徒だろうが、この時間から私服で出歩いていることから俺と同年代と思われた。


「…なんですか?」


少し素っ気ない返事をしてしまったかと思ったが、女の子は気にせず話しかけてきた。


「あの、よくここのカラオケに来てますよね…!私も結構来ててあなたをよく見かけるので気になって…」

「はぁ…」

「えっ…と、それで…その」


よくこのカラオケに来ていると言われても、正直周りをあんまり気にしていなかった俺にとっては全く知らない赤の他人。

口ごもっている女の子の次の言葉を待っていると。


「あ、あの…!!」

「はい」

「それで…!わ…わたし、あなたに一目惚れ…しまし、て…」

「はぁ……え?」


え…ええぇぇ…!
一目惚れ…!?

思わず唖然として赤くなっている女の子を見つめる。

まさか初対面の女の子にいきなり告白されるとは…。
とりあえず自分が男でないことを説明したりと話が長くなりそうなので、人数を2人に書き直し一緒に入って話そうと促した。

 
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