novel

□すれ違い
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「真ちゃーん!」


「なんなのだよ」



まったくこの男はいつもテンションが高いな…少々しつこいくらいだ。

そんなことを思いながらも高尾の相手をしている緑間。



この秀徳高校に入学した当初、まだ友達もおらず一人で居たところに話しかけてきたのが高尾だった。


最初は軽薄な男だと思っていた緑間だったが、帝光時代に対戦して負かした相手だったらしく、本人曰くリベンジしたいと思っていたのにまさか一緒に戦うことになるとは思わなかったそうで、神妙な面持ちでそう話す高尾を見て考えを改めた。



普段はこんなにテンションが高く明るい姿の高尾だが、人には見せない闇も抱えていることを緑間は知っていた。


そして、そんな高尾に知らず知らずのうちに緑間は惹かれていたのだった。





「真ちゃーん、聞いてる?」



いつの間にか目の前にある顔に気づいてはっとなる。



「俺の話、そんなに退屈ー?」


「…ちょっと、考え事をしていたのだよ」


「やっぱ俺の話退屈なんじゃん」



口を尖らせる高尾に緑間は少し焦りながら弁解を試みようとする。

すると、高尾はぷっと吹き出して笑顔に戻った。



「いーよ、別に怒ってねーし。真ちゃんが考え事してて話聞いてないとかいつものことだからなー。つか早く部活行こーぜ!宮地さんに怒られる!」



そう言って離れようとする高尾の腕を緑間が掴んだ。



「ん?どしたの、真ちゃん」


「……いや…なんでもないのだよ」



一度掴んだ腕を離し部活の支度をする緑間に、高尾は若干の違和感を感じたがそのままその場を離れた。



自分の気持ちを伝えたいとは思うものの、やはり勇気が出ない。


男である高尾を好きになるなど自分でもどうかしていると思う緑間だったが、好きになってしまったものは仕方ない。





気持ちが暴走するのを抑えながら緑間は今日もなんとか部活を終えた─。

 
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