novel

□確信犯
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「おい、良!」


「は、はい…」



桐皇学園高校でのとある昼休み、青峰に屋上に呼び出された桜井。


何故呼び出されたのか─、答えは1つしかない。
桜井は青峰に毎日弁当を作らされているのだ。


今日も桜井は弁当を2つ抱えて青峰と屋上に行った。



「青峰さんの弁当です…、ど、どうぞ」


「おう、さんきゅ」



青峰は一言礼を言って弁当を受け取り、早速食べ始めた。



「やっぱ良の弁当はうめぇな」


「ありがとうございます…」



そう言って桜井も自分の弁当を食べていると、あっという間に平らげた青峰は物欲しげに桜井の弁当をガン見する。



「すみません、足りませんでしたか…?」


「あぁ、足りねぇな」


「すみません…」



平謝りしながら弁当を差し出すと意外にも青峰は食べようとしなかった。


不思議に思った桜井は青峰を見上げる。



「別にいらねぇよ。毎回弁当作って貰ってるしよ」



青峰にしては優しいその言葉に少し驚きつつも桜井はふっと笑みを溢した。



「んだよ」


「すみません、なんでもないです」



自分でもらしくないと思っているのか顔を背けている青峰に桜井はそっと近づいてみる。



「…!」



すると気配に気づいた青峰は勢いよく振り返った。



「あ…え、と。…ほっぺにご飯粒ついてます」



「あ?…あぁ」



桜井が青峰の頬に手を伸ばしご飯粒を取ると、突然青峰は桜井を抱き締めた。


あまりに唐突な青峰のその行動に驚く桜井。



「…あんまそういう可愛いことすんじゃねーよ」



ぼそっと呟いて表情を見せないようにしている青峰を桜井も抱き締め返した。



「はい…すみません」



謝った桜井の口元は、怪しげに笑っていた─。





- end -
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