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□背中A
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此処は屋上。
目の前には愛しい人。
バチンッ―――
そんな音とともに弾かれたのは俺の手。
行き場を無くした俺の手はただ虚しく空をさ迷うだけ。
そして俺の手を弾いた張本人はなぜか泣いていて。
俯いて、何かを言いかけた。
しかしその言葉が口から出ることはなく、
彼はまた俯いたあと、
何も言わずに走って屋上を去った。
彼の姿が屋上から消えた後、俺はそこにしゃがみ込んだ。
「なんで言っちまったんだ………俺」
頭を抱えて後悔するも、
もう遅い。
最初はこうなるのが怖くて言い出せなかった。
なかなか気持ちを伝えられなかった。
こうなるのはとっくの昔に分かっていた筈だ。
なのに変な自信に駆られて、
俺は思いを打ち明けてしまった。
俺が告白を決心したのは、昨日のこと。