Dropバス

□はじまり
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2人が電車を降り、
「ちゃんと教育しないとな」
と男が言った瞬間、少年は逃げ足で改札を抜けた。
「怖くなってんじゃねぇぞ、逃がすか!!!」

男は少年を追いかけ、
バス乗り場に少年が立っているのを見つけ、追い込んだ。

少年は、右手をかざし、その数秒後にバスがやって来た。

そのバスに少年が乗り込み、男は少しためらい、ドアの前で立ち往生。
すると、少年が
「怖くなってるのは、お兄ちゃんじゃん」
と侮辱した。
「なんだと、てめえ!!!」
その侮辱に乗り、バスの中へ
「券取ってください」
と前の方から声が聞こえ、破るように取った瞬間、
ガダンッ
と男の後ろのドアが勢いよく閉まった。

男はビックリして振り向いたら、
外に居ない筈の少年が外で手を振っている。

「は?何だよアイツ!!!」
そう言い、運転席に行って
「おい、開けろ!!!俺はこのバスに間違って…」
と訴えたが、その席には訴えを聞いてくれる運転手がいない。

「は?…あれ?」

すると急に運転手がいない筈のバスが発車した。
男の頭に最悪な噂が過った。

“運転手がいないバスに乗るな、命を落とすぞ”
「うわぁあぁぁ!!!」
悲鳴を上げ、前方のドアを叩いたが何も変わらない。
突然バスが物凄いスピードでカーブを曲がり、男はドアから引き離され、ひっくり返った。
「っ…」

すると、
「掴まってないと危ないですよ、お客さん」
と柔らかい男性の声がした。
男はハッと起き上がり、声の主を見上げた。
その男性は、新聞を大きく広げ、ニッコリしながら男を見下していた。

「あ、あぁ、あっ」
恐怖のせいか言葉が上手く発せず、新聞男に手を伸ばした。

「哀れね…」
隣の席に座っていた日本人形を抱えている少女が無表情にボソッと言った。
男は、平常心を保ちながら、新聞男の服を引っ張り立ち上がった。そして、
「おい、ガキ…今何か言ったか?」

そう言うと、少女は首をグニ〜と曲げ
「哀れだって言ったの」
と言い返してきた。
「うわ!!!」
その少女にビビったのか、一番後ろの席まで後退った。
すると後ろにカーテンの奥から
「だハハハ!!!今までの強気な態度はどうした?」
と図太い声がした。

「まだ居んのかよ!!!」
男はバッとカーテンを開けた。

「…っひ…」
「だーハハハ!!!!」
そこには、手足、首に鎖を付けられた骸骨が座っていた。
その骸骨の目は暗黒な色をしていて、その中に、ほんのり赤く光る光がギロっと男を見た。

「ぎゃあぁあぁああ!!!」

バリーン!!!

ガラスが割れる様な音が鳴り、
男は、バスがひっくり返る様な錯覚に陥った。
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