6億分の1の奇跡。

□05 運命の三時間
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前のように、無理矢理に起こされた感覚は無かった。

ぱちりと目を開ける。

「……刻、か」
――そのようだな――

交わす言葉はそれだけで、ゆっくり身を起こす。長い長い眠りだった。伸びをして、体を軽く動かす。ぽんぽんと服に付いた粉塵を払いマントを羽織る。
出立準備はそれで終いだ。

「さて、と。永く永く、待ち侘びた末にこの時がきた訳だけど。……例に寄って使命はあくまで0組と生きること、でいいの?」

――いや。汝の好きなように生きろ。我は汝を薇と言ったが、違う言い方をするならば汝は賽の目でもある――

「賽ころ?」

――左様。賽の目は自由に振られるもの。全ての可能性が在り、それは何物にも制約されぬ。それが人と云うものだ。……汝に力は与えた。可能性も然り。後は其れをどう生かすか。そしてどう生きるか。……汝が決めろ――

「……そう、か。一度きりしかないはずの人生だもの。もう、繰り返させたくない。これ一回きり。……本来生きることはそう在るべきだものね。」



それじゃあ。



一、二歩、歩いてから振り返って言った。

「行ってきます」
――ああ。――



暖かな黄金の光に背を押されるようにして。
私は、再
び外の世界へ足を踏み出した。

生きる為に。

望む時代を生きる奇跡を、与えて貰ったから。




(歴史に、参加をしようか。)




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