あの日が嘘でないことを……
□『仙台編』
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あれから毎日、交互に連絡を取り合い、その日あった出来事を話した。
利久が仙台に帰って10日ばかり過ぎたころ、政史からの連絡があり、いつものように他愛もない世間話をしていた。
しばらく話しているとふいに政史が黙り込んだ。
「…………」
「岩下……?」
「……会いたいな……」
囁くようなひっそりとした声音が利久の耳元に届く。
「岩下……俺も会いたい……」
政史は利久も同じ気持ちを抱いていることに後押しされ、思い切って切り出した。
「……ねぇ、片倉くん……あのね……俺……っ、そっちに会いに行っても……いいかな?」
「い、岩下……っ!?」
慌てたような利久の返事に政史は畳み掛けるように言い募る。
「声を毎日聞かせてもらってるから大丈夫だと思ってた……っ!でも……っ!」
政史は初島での別れ際、利久と交わしたキスが脳裏に浮かんだ。
手をつないでくれて、キスもしてくれた。
それだけで充分幸せだったはずなのに……。
離れているうちに気持ちがすれ違ったら?やっぱりあれはなかったことにしようって言われたら?そんなことばかり考えてしまう自分に自己嫌悪になる。
「…………」
「……いつ来れる……?」
「……えっ……!?」
「実を言うとさ、俺も来て欲しいと思ってたんだ……」
「ほんとに……?」
「俺、いつでも待ってるからさ……」
「ありがとう、片倉くん……」