タクミくん(long story)

□夏祭りその後(ギイ×託生)
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夏祭りをいろんな意味で楽しんだあと、ひと休みさせる名目で託生をホテルに連れ込んだ。

もっと抵抗するかと思いきや、案外素直に着いてきた託生は部屋に入るなり、呆然と立ち尽くした。

おそらく……いや絶対こういうホテルになど来たこともないであろう託生が驚くのも無理はなかった。
今夜は、この近辺では比較的大きな祭りだったから賑わいも相当で普通のスタンダードなタイプの部屋は全て満室でこういうホテルの中でもグレードの一番高い部屋しか空いていなかったのだ。
オレはソファに落ち着き、タバコを取り出し一服する。
託生はと言えば先ほどまで気怠そうにしていたのも忘れ、興味津々に部屋の中を見て回っている。
そのうち奥にあるドアに気がつき、そちらへいってしまった。

おそらくバスルームだろうその扉を開けた託生はその広さにか屋外だったことにか……いや、両方か……驚きの声をあげた。

「……ギイ……っ!これ……っ!」
「ん……?あぁ……それな、ここをこうすると……」

オレはソファから立ち上がり託生のそばに近寄るとスイッチパネルを操作してやった。

「……プ、プラネタリウムだ……!」

部屋の天井を見上げた託生のびっくりした様子にオレは満足げに微笑んでウインクしてやった。
驚きから回復した託生はオレをチラリと見上げるとニッコリと微笑み、一言付け加えた。

「さすが、海千山千なだけあるよね、よくご存じで……」

オレは託生の一言に気まずげに目を逸らすとそそくさと背を向けた。

 
託生の関心がバスルーム内に移り、中を見ているうちに、ソファに戻ったオレの目にベッド横の自販機が映り、ニヤリと笑みを浮かべる。
託生の様子を伺い、こちらを見ていないことを確認すると素早く1つ購入し、とりあえず枕の下に忍ばせる。
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