タクミくん(long story)

□ジェラシー(真行寺×三洲)
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ここのところお互いが多忙を極め、ゆっくりと過ごすことができないでいた。
真行寺は久々に三洲と共に過ごせるからと浮き足立ち、気もそぞろに営業先へと向かっていた。
(アラタさん、今日は遅くならないといいなぁ……)
そんなことを考えながらふと通りの向こうに目をやった真行寺は三洲が歩いているの見つけた。
(アラタさんだ……!)
偶然にも三洲の姿を見つけ、嬉しくなった真行寺は傍の横断歩道を渡って近寄ろうとしたが寸前で動きを止めた。

彼は一人じゃなかった。
真行寺と同じくらいか、背の高い男性と連れ立っており、よく見ればその男性の手が三洲の腰にまわっているのがわかる。
三洲の方も嫌がる素振りを見せず、されるがままになっている様子が見て取れた。
思わず凝視していた真行寺は次の瞬間、愕然と目を見開くと、息を詰めた。
「……っ!」
横にいた男性が三洲の耳元に口唇を近づけ、なにか言ったのだろう、三洲ははにかむように微笑んで頬を染めた。

二人はそのままビルの角を曲がり、雑踏へと消えて行く。
真行寺はそれをただ、見つめていた……
行き交う人々が訝しむほど、長く――
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