タクミくん(short story)

□Lechery(ギイ×託生)
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「ギ、イ……?」
「なんだ?」
「これ、矢倉くんからプレゼントだって……」

託生はそばに置いていたなんの変哲もない紙袋を差し出した。

「矢倉から……?」
「うん。見れば、わかるって伝言……」

訝しげに問い返すとそう返ってくる。

「……っ!」

心当たりはまるでなく、袋の中を覗き込み、慌てて袋を閉じた。

「ど、したの、ギイ?なにが入ってるんだい?」
「いや、なんでもない……それより、そんなに飲んで大丈夫か?」
「大丈夫だって……ほら、立ち上がれ……っ!」

そう言って立ち上がりかけた途端、ふらついた託生を支えてやる。

「いわんこっちゃない、託生、飲み過ぎだ……ほら、水飲めよ……」

グラスに注いだ水を手渡してやる。

「ん……あ、りがと……」

託生はよほど喉が渇いていたのか、一気にグラスの中身を飲み干す。

「……っ!」

飲み込みきれなかった水滴がツゥ……と顎から首筋に伝い落ちるのを目にし、オレは慌てて目をそらすと託生の腕を引いて寝室に足を向ける。

「っ!ちょ、なに、ギイ?」
「託生、これ中に何がはいってるか知ってるか?」

手にした袋を掲げて見せた。

「え?見るなって言われたから知らないよ……?」
「……教えてやるよ……」

さらに託生の肩を引き寄せる。

「ちょ、だからなんでそっち行くの?ここじゃダメなの?」
「託生はここがいいのか?」
「え?どこでもいいけど……?」

なにもわかっていない託生は小首を傾げてオレをみつめるとそう言った。
オレも別に場所なんて拘らないが、今からすることを思えば寝室の方が都合がいい。

「……いや、いい……やっぱりあっちへ行こう……」
「う、ん……」

寝室に入り、ベッドのそばまで行くと

「ほら、託生これ……」

と袋からそれを出してみせた。

「これ……って浴衣?」
「いや、これは襦袢、着物を着る時に下着代わりに身に付けるものだ……」

オレは託生に手渡した。

「へぇ……」

物珍しさから託生は手にしたそれを広げる。

「……託生、着てみろよ……」

オレは託生のナイトガウンをはだけさせると、肩から羽織らせた。

「あ、これ肌触りが気持ちいい……これでいい?」

託生は袂を併せるとオレを見上げて小首を傾げる。

「あぁ……よく似合ってる……」
「そう?」
「託生、ここに座って……」
「うん……」

酔っているせいか疑問に思うこともなく、素直に頷き、オレの言うとおりにしてくれる。

「託生、少しの間、目瞑って……」
「な、に……?」
「黙って……」

人差し指を託生の口元に沿わせる。

「え……ギ、イ?なに……っ?」

オレは託生に目を閉じるように言って、手早く手にしたものを託生にかけてゆく。
二の腕の部分にロープを回し、背中側で交差させるとそこから幾分下方にもう一度ロープを回す。最後に胸の前で手首を纏めてぐるりと戒めた。
真っ白な光沢のある布地に真っ赤なロープが映える。

「ちょ……ギイ……っ、ゃだよ、こんなの……っ

「……あの袋の中身、これが入ってた……」

すべて終えると、託生に種明かしするように伝える。

「え?なんで……?」
「オレへのプレゼントだって言ってただろ?」
「う、ん……でもぼくがこうされる理由がまったくわからないんだけど……」

案の定、なにも解っていない託生はそう聞き返す。

「……お前がオレへのプレゼントだってことさ……」

さっきの袋には託生が身につけている真っ白の襦袢と赤い色のロープにジェル、そして一枚の紙切れが入っていた。
『俺からのささやかなプレゼントだ……。おおいに楽しんでくれ。矢倉』
と書かれていたそれを託生に見せた。

「えっ!ちょっと待って……!」

ようやく意味がわかったのか、託生が焦った様子をみせるものの聞ける訳がない。

「待たない……オレもう限界……っ」
「……っ!ギイ!ちょっ、ダメ……っ!ん……ふ……っ」

マットレスに押し倒し、覆い被さると抵抗の意志を示す託生の口唇を奪い、深く口づけた。

「託生……」

口唇を離すと、耳元に小さく囁いて耳孔に舌を差し入れた。

「ぁ、あ……っ、ギイ……ね、これ、解いて……」

託生が喘ぎ混じりにそう言うのに

「ダメだ……」

とオレは首を縦には振らなかった。
そして矢倉からもらった袋からもうひとつ、手のひらサイズのボトルを出すと、キャップをあけ、中身を託生の胸元に滴るほどに垂らす。トロリとした液体が布地に染み込み、襦袢越しに桜色に色付いた尖りが浮き上がり、オレは思わずゴクリと喉を鳴らした。

「ぁ……冷た……っ」

塗り広げると、託生が小さな声をあげた。

「すぐ、温かくなるさ……ほら……」

託生の纏った熱がジェルに移る。

「ぁ……ん……ふ……ぅ……っ」

布地越しに尖りを摘まむと、軽く捻る。
いつもなら理性がある間の託生は洩れる声を抑えようと手のひらで口元を覆うから聞けないが、今日は腕も動かせないものだから、どうあっても塞げない。羞恥に真っ赤になりながらもふるふると首を左右に降りたくる。

「あ……んっ、ゃだ……ギイ……っおねが……っ解いて……っ」

アルコールのせいで朱く染まった目元を潤ませながら懇願する託生がひどく艶めかしく映り、なおさら煽られる。
胸元に指先を近付け、尖りに触れる。キュッと捻れば、ビクビクと身体を跳ね上がらせる。
シチュエーションのせいか、託生は常より感じやすく過敏な反応を返す。

「ゃ……っあ、ギ… …ぁ、あっ、ふ……ん」

託生の口唇から艶めかしい喘ぎが次々と零れ落ちる。首を振るたび、艶やかな黒髪がシーツに当たり、パサパサと音をたてた。
託生の脚の間に身体を割り込ませ、開かせた。

「……ギイ、やだ……ねぇ……」

まなじりからツーっと涙が零れ落ちた。
快感と羞恥に零れたそれを舐めとると口唇を塞いだ。

「ん……っふっ、んんっ……」

舌を絡めて溢れる唾液を吸い上げれば、飲み込みきれなかったそれが頬を伝い落ちる。
オレは託生に重みをかけないようにしつつ、口唇を首筋から鎖骨、胸元へと滑らせていく。
濡れて桜色に透けた尖りを布地ごと口唇で挟んだ。

「っやぁ……ぁ……っ」

軽く歯をたて甘噛みするとビクッと身体を震わせる。両方の尖りを指先と口唇で交互に刺激し、託生を高ぶらせていく。

「ゃ……は、あ、あっあ……っ」

いつもよりも敏感なせいで軽く舌先で転がすだけでビクビクと腰を跳ね上がらせる。
片手でゆっくりと肌を辿り降ろしていき、布地を押し上げているそれにそっと触れる。

「……っあぁ……っ」

途端に託生は身を捩らせ、喘いだ。
生理的な涙に濡れた瞳を瞬かせ、こちらをみつめる眼差しは堪らなく扇情的でオレを酔わせる。

「……んっ、ぁあ……っ」

もっと感じ入る託生を見たくて指先にジェルをたっぷりと纏わせて後ろへと伸ばし、そこをなぞり、指先を押し込むと嬌声があがった。
指先をゆるゆると動かし、託生が感じるところを探り、擦り上げた。

「……ゃあっ、ギイ、ゃだ……っそこ……っ」

強すぎる刺激から逃れようとずり上がろうとするのを引き戻し、そこを責める。
ジェルを足しつつ、抜き差しを繰り返し、綻んできたところで指を一本増やすと、二本の指でそれぞれ別の場所を刺激する。

「あぁ……っ、ぁ、あ、ふぁっ」

ひっきりなしにこぼれ落ちる嬌声にどうしようもなく煽られる。
後ろを刺激する手はそのままに、肌を擽り遊ばせていた手で託生の中心を握り込み上下に動かした。

「やぁ……っ、そ、な……ダ、メ……!も……っ!」

2カ所同時の刺激に背を撓らせながら甘く啼き、託生は全身を震わせ、オレの手のひらに白濁を迸らせた。それをペロリと舐め取り、忙しなく上下する胸元に口唇を寄せると尖りを含み軽く歯をたてた。

「……ぁ……っ」

過敏になっている託生はビクッと背を弾かせる。

「ゃぁ、ん……っ」

尖りを舌先で舐め、フゥっと息を吹きかけると全身を震わせた。
口唇を滑らせ、余すところなく口付けてゆく。
そうしながら、後ろも愛撫する。
指先で敏感な場所を押し上げた。

「やぁっ!だ、め……っ!」

刺激が強すぎたか、一際高い嬌声を響かせる。

「……っ、ギ、イ……ぁ……っもぅ……っ」
「ん……?」
「……っ……」

快楽に潤む瞳で見つめるものの、肝心の一言は言えず、口唇を噛み締め、顔を背けた。

「なんだ……託生?」

オレはわかっていながらも託生の口唇からその言葉を引き出したくて黙ったまま、促すように腰を押し付けた。

「あっ、あっ……も、やぁ……っ、ギ、ィ……ね、おねが……っ」
「……どうしたい?」

託生から視線を逸らさないまま、そう訊ね返す。

「っ……ギイ、がほし……っ」

とめようもなく、ひっきりなしに零れる喘ぎに羞恥よりも快感が勝り、欲しいと懇願する託生にオレが我慢しきれなくなる。

「……っ」

思わずゴクリと息をのみこんだ。
後ろを責めていた指を引き抜くと、屹立を押し当て、一息に貫いた。

「あ……あぁっ!」

その衝撃に上体を弓なりにそらせ、濡れた声を上げる。

「……悪い、託生……」

さすがにやりすぎたかと、一旦動きをとめた。
そして触れるだけの口づけを何度も繰り返した。

「……だ、いじょぶ……」

託生は深呼吸するように大きく息を吐いて身体から力を抜き、笑みを浮かべた。
口づけを深くし、舌先を絡め取って甘噛みするうちに託生も腰が揺れ始める。 そのリズムにあわせるように緩やかな律動を刻み始めた。

「あ……っ、あ、ふっ、あ、あ……」

中の敏感な場所を時折、掠めるように突き上げながら中心を握り込み愛撫する。先端部分を指の腹で擦ると強い刺激に身体が跳ね上がる。

「や、あ……っ、そ……れ、だめ……っ!」
「……イけばいい、何度でも……」

そう言ってさらに胸の尖りに手を伸ばし、揉み込むように愛撫する。

「あぁ……っ、や、イっちゃ……あ──っ!」

びくんっと身体を震わせ、託生が達する。
オレはその最中の締め付けを楽しむかのように一気に最奥を穿った。

「やあぁ──っ!」

過敏になっている内部に半ば強引に突き入れ、擦りあげると嬌声が喉をついた。
逃げるようにずり上がった託生の腰を掴み、引き戻すと突き上げるスピードを上げ、なかを掻き回した。

「あぁ……やぁっ、だ、め……ぁ……」
「……もう少し……」

オレも限界が近く、高みを目指して動きを激しくする。
揺さぶり、お互いのあわいで擦り上げた託生もまた高みに押し上げられる。

「ん──っ、あああぁ──!」

一際高い声が喉からこぼれ落ち、託生はぐったりと頽おれた。
オレもあとを追うように達し、託生の上に重なった。




→あとがき
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